いらっしゃいませ幽霊さん
 
 私が返事に戸惑っていると、無理やり腕を引っ張って調理場に連れてこられた。

「ちょっと、まだ料理できるなんて言ってないじゃん!」
「でもここまでついて来たじゃん」
「あんたが腕引っ張ったからでしょ!」
「あんたって何だよ」
「てかなんでいきなり料理?まだ話の途中なのに」
「ネガティブな話は好きじゃないんだよ」
「…あっそ」

 少しくらい聞いてくれたっていいのに…。初季は私が黙り込んだのを確認すると、慣れた手つきで食材や調理器具を出し始めた。

「ねえ、あんなに客が来るのに買い出しだけで食材って足りるの?」
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