いらっしゃいませ幽霊さん
「あ、今タオル持ってくるから待ってろ」
その人は急に硬い表情になると、また奥に入って行った。
「…なんなの…待ってろって」
そっと椅子に腰掛けた。店内を見渡すと、各窓のそばに白百合が一本ずつ綺麗に飾られていた。
「縁起の悪い店…花言葉しらないのかな」
どうやら店にはさっきの人しかいないようだった。1人で店を運営しているようだ。
「おまたせ。お前、どうやって来た?」
私はタオルを受け取ると、うつむきながら答えた。
「ただ…歩いてたらたどり着いただけ」
「嘘つくな。そう簡単に来れる場所じゃない」
じゃあなんでこんな場所でお店なんかやってるんだろう。何だか、不気味になって私は席を立った。
「もう帰るから大丈夫、ありがと」
タオルを机に置くと、いきなり腕を掴まれた。