前世わたしを殺した男は、生まれ変わっても愛を捧ぐ
「殿下から?」
まるでリーヴェスの時と同じだ。
「はい。公爵閣下からも心配する旨の手紙が届いたそうですが、そちらはお嬢様宛てというよりも、侯爵家宛てでしたので、奥様が代わりにお返事をお書きになりました」
「そう……」
テオバルトはルティアが倒れる直前の出来事をきちんと両親に伝えていた。娘の意思を無視して男性を宛がうことも危険だからやめた方がいいという厳しい言葉も添えて。
一歩間違えば取り返しのつかない事態に陥った可能性があり、両親ももうリーヴェスと会わせようとは考えなかった。むしろ以前と違い、警戒するようになった。
だから不自然なほどリーヴェスのことを話題に出さないし、彼が見舞いに訪れてもルティアに知られないようこっそり追い返しているようだ。
(少し可哀想な気もするけれど……)
当初はかなり気に入られて、結婚の話も乗り気だったのに急にそっぽを向かれるようになったのだ。申し訳ないという気持ちもあったが、ほっとしたのも事実であった。さすがにこれで彼も諦めてくれるだろう。
「お嬢様。閣下のことはどうか気になさらず……。旦那様や奥様も、お嬢様の幸せを一番に願っておりますので」
これ以上ルティアを追いつめたくないという家族や使用人の気遣いに、彼女は微笑んだ。
「わかっているわ。テオバルト殿下のお手紙、見せてくれる?」
「はい。……もし何か困ったことがありましたら、どうぞ遠慮せずおっしゃってください」
テオバルトはこの国の王子だ。無下にしていい相手ではない。
だが本音ではルティアと関わらせたくない……とメイドの本音が伝わってくる言葉に、ルティアは困った顔をしながらもありがとうと述べた。
だが彼女が心配する必要はなく、手紙はただルティアの体調を気遣うものだった。
(元気になるには、定期的に身体を動かすことも大事だと聞きます……私が毎日やっている軽いストレッチをぜひ……って、すごく丁寧に解説してくれている)
結婚の文字も一切見当たらず、前回のあれはただの冗談だったのではないかと思うほど、ルティアへの個人的な思いは書かれていなかった。
ほっとすると同時に、揶揄されたようで少し、もやもやした気持ちにもなる。
(まだ出会ってほんの少しというのに、彼に翻弄されっぱなしだわ)
前世はどうだったろうか……。
何か少しでも彼に関することを思い出したいと思うルティアは記憶を探るも、そう簡単に思い浮かぶものではなかった。
(そもそもわたしは、彼とそんなに出会う機会があったのかしら)
女王と奴隷という身分である。加えて出会った時、アリーセはすでにリーヴェスと結婚していた。そんな中で奴隷の彼と頻繁に出会うことは難しいだろう。
(カイ……)
ルティアは気づけば手紙を何度も読み直していた。
それはまるで恋文をもらった少女のように見えることを、ルティアは気づいていなかった。
まるでリーヴェスの時と同じだ。
「はい。公爵閣下からも心配する旨の手紙が届いたそうですが、そちらはお嬢様宛てというよりも、侯爵家宛てでしたので、奥様が代わりにお返事をお書きになりました」
「そう……」
テオバルトはルティアが倒れる直前の出来事をきちんと両親に伝えていた。娘の意思を無視して男性を宛がうことも危険だからやめた方がいいという厳しい言葉も添えて。
一歩間違えば取り返しのつかない事態に陥った可能性があり、両親ももうリーヴェスと会わせようとは考えなかった。むしろ以前と違い、警戒するようになった。
だから不自然なほどリーヴェスのことを話題に出さないし、彼が見舞いに訪れてもルティアに知られないようこっそり追い返しているようだ。
(少し可哀想な気もするけれど……)
当初はかなり気に入られて、結婚の話も乗り気だったのに急にそっぽを向かれるようになったのだ。申し訳ないという気持ちもあったが、ほっとしたのも事実であった。さすがにこれで彼も諦めてくれるだろう。
「お嬢様。閣下のことはどうか気になさらず……。旦那様や奥様も、お嬢様の幸せを一番に願っておりますので」
これ以上ルティアを追いつめたくないという家族や使用人の気遣いに、彼女は微笑んだ。
「わかっているわ。テオバルト殿下のお手紙、見せてくれる?」
「はい。……もし何か困ったことがありましたら、どうぞ遠慮せずおっしゃってください」
テオバルトはこの国の王子だ。無下にしていい相手ではない。
だが本音ではルティアと関わらせたくない……とメイドの本音が伝わってくる言葉に、ルティアは困った顔をしながらもありがとうと述べた。
だが彼女が心配する必要はなく、手紙はただルティアの体調を気遣うものだった。
(元気になるには、定期的に身体を動かすことも大事だと聞きます……私が毎日やっている軽いストレッチをぜひ……って、すごく丁寧に解説してくれている)
結婚の文字も一切見当たらず、前回のあれはただの冗談だったのではないかと思うほど、ルティアへの個人的な思いは書かれていなかった。
ほっとすると同時に、揶揄されたようで少し、もやもやした気持ちにもなる。
(まだ出会ってほんの少しというのに、彼に翻弄されっぱなしだわ)
前世はどうだったろうか……。
何か少しでも彼に関することを思い出したいと思うルティアは記憶を探るも、そう簡単に思い浮かぶものではなかった。
(そもそもわたしは、彼とそんなに出会う機会があったのかしら)
女王と奴隷という身分である。加えて出会った時、アリーセはすでにリーヴェスと結婚していた。そんな中で奴隷の彼と頻繁に出会うことは難しいだろう。
(カイ……)
ルティアは気づけば手紙を何度も読み直していた。
それはまるで恋文をもらった少女のように見えることを、ルティアは気づいていなかった。