前世わたしを殺した男は、生まれ変わっても愛を捧ぐ
17、最後の思い出として
「ルティア姉さま、とっても素敵!」
メイドたちもふーっと額の汗を拭って自分たちの出来栄えを満足げに眺めた。
ルティアはそっと全身を映す鏡で自分の姿を確かめた。
プラチナブロンドの髪は後ろで高く結い上げ、耳朶には深い青色のイヤリングが揺れており、肌を覆うのは真っ白な絹地のドレスだ。
火傷痕のある胸元をレースで上手く隠しているぶん、綺麗な背中を露わにさせ、スカートの部分には小さくも眩い宝石が星のように縫い付けられ、動く度にきらきらと輝きを放っている。
「まるでウエディングドレスのようね」
「本当に。とてもお美しいですわ」
ルティアはうっとりとした眼差しで褒め称えるメイドたちにお礼を述べ、そっと胸元に手を添えた。前世では白を纏うことはなかった。赤や紫など、人の目を引く色を纏っていた。その方が女王としての威厳が出るし、他の色よりよく似合っていると言われたからだ。
(こんなふうに、自分から何かを着たいと思ったのは初めてだわ……)
相手が王子だからだろうか。変な格好をすれば、失礼に当たるから……。
(リーヴェスの時はそんなこと思わなかったのに……)
いや、彼の時も服装には気を遣っていた。ただ何を着るかはメイドに任せ、その出来栄えが彼の目にどう映ろうか気にしなかった。
(わたしは殿下のこと……)
「今日のお姉さま、なんだかいつもと違う」
ファニーの言葉にルティアはそっと振り返り、無言で微笑んだ。
それがまた可憐で、今にも消えてしまいそうな儚さを感じさせるものだったから、ファニーは見惚れると同時に不安そうな顔をした。
「舞踏会、行きたくないの?」
「いいえ、そんなことないわ」
ただ、行ってしまえば、もうテオバルトと会うこともない。終わってしまう。
そのことが今の自分を寂しく見せていることに、ルティアは気づかない振りをした。
メイドたちもふーっと額の汗を拭って自分たちの出来栄えを満足げに眺めた。
ルティアはそっと全身を映す鏡で自分の姿を確かめた。
プラチナブロンドの髪は後ろで高く結い上げ、耳朶には深い青色のイヤリングが揺れており、肌を覆うのは真っ白な絹地のドレスだ。
火傷痕のある胸元をレースで上手く隠しているぶん、綺麗な背中を露わにさせ、スカートの部分には小さくも眩い宝石が星のように縫い付けられ、動く度にきらきらと輝きを放っている。
「まるでウエディングドレスのようね」
「本当に。とてもお美しいですわ」
ルティアはうっとりとした眼差しで褒め称えるメイドたちにお礼を述べ、そっと胸元に手を添えた。前世では白を纏うことはなかった。赤や紫など、人の目を引く色を纏っていた。その方が女王としての威厳が出るし、他の色よりよく似合っていると言われたからだ。
(こんなふうに、自分から何かを着たいと思ったのは初めてだわ……)
相手が王子だからだろうか。変な格好をすれば、失礼に当たるから……。
(リーヴェスの時はそんなこと思わなかったのに……)
いや、彼の時も服装には気を遣っていた。ただ何を着るかはメイドに任せ、その出来栄えが彼の目にどう映ろうか気にしなかった。
(わたしは殿下のこと……)
「今日のお姉さま、なんだかいつもと違う」
ファニーの言葉にルティアはそっと振り返り、無言で微笑んだ。
それがまた可憐で、今にも消えてしまいそうな儚さを感じさせるものだったから、ファニーは見惚れると同時に不安そうな顔をした。
「舞踏会、行きたくないの?」
「いいえ、そんなことないわ」
ただ、行ってしまえば、もうテオバルトと会うこともない。終わってしまう。
そのことが今の自分を寂しく見せていることに、ルティアは気づかない振りをした。