前世わたしを殺した男は、生まれ変わっても愛を捧ぐ
「あなたもまた、自身の罪を認めるのでしょう? それとも、いま私におっしゃったように、過去は過去、今は今だと、己の罪をなかったことにして生きていくつもりですか。それであの奴隷の――テオバルト殿下の手を取り、幸せになるつもりなのですか」
「いいえ、それは違うわ」

 ルティアはきっぱりと否定した。けれどリーヴェスは信じなかった。信じたくないと、肩を掴んで、ルティアを壇上にある台へ追いつめる。

「あなたが幸せになるには、私と一緒になるしかないんです」
「リーヴェス……」

 通じない心にやるせなさを覚える。
 自分たちはきっと、どこまでもこうした関係なのかもしれない。

 憐れみと悲しみの混じった目で見れば、リーヴェスもまた寂しそうに微笑んだ。

「どうしても、わかってくれないんですね」
「……」
「いいですよ。そんなに出て行きたいのならば、ここから出て、王子のもとへ行きなさい」

 ルティアはリーヴェスをしばらく見つめたのち、黙って背を向けた。

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