前世わたしを殺した男は、生まれ変わっても愛を捧ぐ
隠し通そうとしても、彼をよく思わない人間から、あるいはアリーセ本人に恨みがあるのか、夫の裏切りを告げられた。
子を孕む前から、彼に愛人がいることは薄々気づいていた。それでも見て見ぬ振りをしていた。妻として足りない部分が大いにあることは自覚していたから。王配としての務めを果たしてくれている限り、関係を許そうと。
彼も自分の立場を弁えて、子だけは作らないと思っていたから。それなのに……。
「陛下の子が亡くなった今、いっそその子を後継者にしたらどうだ」
「そうだな……女児ではあるが、陛下の子も王女だった。リーヴェス殿は王家の血も引いていらっしゃるし、陛下との間に次の子は望めなさそうだしな……」
「もしかするとリーヴェス殿もこのことを見越して子を産ませたのかもしれない」
「いや、単に愛する女に自分の子を産ませたかっただけだろう」
口さがなく吐き出される言葉の数々が刃のように心臓に突き刺さってくる。
「結局、陛下のことは愛していなかったのだな」
アリーセの心は、その時に壊れてしまった。
「陛下。どうかお許しください。あの子はまだ、赤ん坊なのです……」
そう。自分の子どももまだあんなに小さかった。それなのに死んでしまった。
(わたしの子どもは死んでしまったのに、おまえが不貞を犯してできた子どもは生きている。どうして? なぜ?)
リーヴェスは必死に謝り、アリーセの怒りから子どもを庇おうとした。子どもの命と引き換えに死んでしまった女の忘れ形見を必死で守ろうとしていた。
あの子のことは守ってくれなかったのに。
(そんなにも……)
愛はなくても、リーヴェスは王配だ。自分と運命を共にしてくれると信じていたのに。
「陛下? なにを……陛下!」
この国のすべてを守ろうと思っていた。でもアリーセはもうどうでもよくなった。気に入らない人間などすべて殺してしまえばいい。何もかも壊してしまえばいい。
「ふっ、あははははは!」
子を孕む前から、彼に愛人がいることは薄々気づいていた。それでも見て見ぬ振りをしていた。妻として足りない部分が大いにあることは自覚していたから。王配としての務めを果たしてくれている限り、関係を許そうと。
彼も自分の立場を弁えて、子だけは作らないと思っていたから。それなのに……。
「陛下の子が亡くなった今、いっそその子を後継者にしたらどうだ」
「そうだな……女児ではあるが、陛下の子も王女だった。リーヴェス殿は王家の血も引いていらっしゃるし、陛下との間に次の子は望めなさそうだしな……」
「もしかするとリーヴェス殿もこのことを見越して子を産ませたのかもしれない」
「いや、単に愛する女に自分の子を産ませたかっただけだろう」
口さがなく吐き出される言葉の数々が刃のように心臓に突き刺さってくる。
「結局、陛下のことは愛していなかったのだな」
アリーセの心は、その時に壊れてしまった。
「陛下。どうかお許しください。あの子はまだ、赤ん坊なのです……」
そう。自分の子どももまだあんなに小さかった。それなのに死んでしまった。
(わたしの子どもは死んでしまったのに、おまえが不貞を犯してできた子どもは生きている。どうして? なぜ?)
リーヴェスは必死に謝り、アリーセの怒りから子どもを庇おうとした。子どもの命と引き換えに死んでしまった女の忘れ形見を必死で守ろうとしていた。
あの子のことは守ってくれなかったのに。
(そんなにも……)
愛はなくても、リーヴェスは王配だ。自分と運命を共にしてくれると信じていたのに。
「陛下? なにを……陛下!」
この国のすべてを守ろうと思っていた。でもアリーセはもうどうでもよくなった。気に入らない人間などすべて殺してしまえばいい。何もかも壊してしまえばいい。
「ふっ、あははははは!」