前世わたしを殺した男は、生まれ変わっても愛を捧ぐ
ルティアが誘拐された日。リーヴェスに協力したのはテオバルトをよく思わない貴族の一人だった。彼はルティアをリーヴェスに与えることで、自分の娘を第三王子に嫁がせることも企んでいたらしい。
だが結局、勘のいいテオバルトと、ルティアを騙して離宮へ連れてきた青年と令嬢が父親の企みを暴露したことで計画は明るみに出てしまい、すぐさまルティアを救出する部隊が派遣された。
ルティアの居場所をいち早く特定できたのも、テオバルトがこれまで築いてきた人脈のおかげだった。彼は誰よりも早く馬を駆けさせ、ルティアが監禁されていた古城へ乗り込んだ。
すでに煙が充満しており、追いついた部下たちが必死で止めたそうだが、テオバルトはふざけるなと怒鳴り返したそうだ。
「ルティアが死ぬというなら、俺も運命を共にするまでだ!」
そう言って全身に水を被り、制止の声を振り切ってルティアを助けに向かったという。
「もう、本当に! あの時は心臓が止まりそうになりましたよ!」
と見舞いに来て語ってくれたのはテオバルトの側近であるクルトだ。彼や他数名の部下たちはテオバルトを放っておけず、後に続いたそうだ。
「危険なことに巻き込んでしまって……申し訳ありません」
「あっ、いえいえ! ルティア嬢は何も悪くありませんよ! ご無事で何よりです。あの時助けに行ってよかったと今では心から思えます! 悔いはありません!」
「クルト卿……」
「それに王子を死なせたとあれば、我々もただじゃすみませんからね」
と茶目っ気たっぷりに言いつつ、本気でテオバルトを心配して後に続いたのだろう。テオバルトも恩義を感じているのか、後でお礼を述べたと、クルトがニヤニヤしながら教えてくれた。
「何はともあれ、今回の首謀者も一緒に生きて捕まえることができましたから、一件落着です!」
(リーヴェス……)
テオバルト一人では、ルティア一人を救出するのが限界だっただろう。
「いま、公爵閣下は?」
「まだ意識が戻らず療養中です。……医師の話によると、ずいぶんと魘されているそうです」
「そう……」
目を伏せるルティアに、クルトは明るい声で励ました。
「大丈夫です! 今回ルティア嬢をあんな目に遭わせた報いは、完治させてしっかり受けさせますから! だからルティア嬢はもう怖い記憶は忘れて、ご自身の療養に専念されてください! この国一番の治療が受けられる最高医療機関でしっかりと! それから殿下とのこれからの未来をしっかり考えてくだされば――」
「おまえはここが病室だということを忘れているんじゃないか?」
だが結局、勘のいいテオバルトと、ルティアを騙して離宮へ連れてきた青年と令嬢が父親の企みを暴露したことで計画は明るみに出てしまい、すぐさまルティアを救出する部隊が派遣された。
ルティアの居場所をいち早く特定できたのも、テオバルトがこれまで築いてきた人脈のおかげだった。彼は誰よりも早く馬を駆けさせ、ルティアが監禁されていた古城へ乗り込んだ。
すでに煙が充満しており、追いついた部下たちが必死で止めたそうだが、テオバルトはふざけるなと怒鳴り返したそうだ。
「ルティアが死ぬというなら、俺も運命を共にするまでだ!」
そう言って全身に水を被り、制止の声を振り切ってルティアを助けに向かったという。
「もう、本当に! あの時は心臓が止まりそうになりましたよ!」
と見舞いに来て語ってくれたのはテオバルトの側近であるクルトだ。彼や他数名の部下たちはテオバルトを放っておけず、後に続いたそうだ。
「危険なことに巻き込んでしまって……申し訳ありません」
「あっ、いえいえ! ルティア嬢は何も悪くありませんよ! ご無事で何よりです。あの時助けに行ってよかったと今では心から思えます! 悔いはありません!」
「クルト卿……」
「それに王子を死なせたとあれば、我々もただじゃすみませんからね」
と茶目っ気たっぷりに言いつつ、本気でテオバルトを心配して後に続いたのだろう。テオバルトも恩義を感じているのか、後でお礼を述べたと、クルトがニヤニヤしながら教えてくれた。
「何はともあれ、今回の首謀者も一緒に生きて捕まえることができましたから、一件落着です!」
(リーヴェス……)
テオバルト一人では、ルティア一人を救出するのが限界だっただろう。
「いま、公爵閣下は?」
「まだ意識が戻らず療養中です。……医師の話によると、ずいぶんと魘されているそうです」
「そう……」
目を伏せるルティアに、クルトは明るい声で励ました。
「大丈夫です! 今回ルティア嬢をあんな目に遭わせた報いは、完治させてしっかり受けさせますから! だからルティア嬢はもう怖い記憶は忘れて、ご自身の療養に専念されてください! この国一番の治療が受けられる最高医療機関でしっかりと! それから殿下とのこれからの未来をしっかり考えてくだされば――」
「おまえはここが病室だということを忘れているんじゃないか?」