前世わたしを殺した男は、生まれ変わっても愛を捧ぐ
看護師と共に部屋へ入ってきたテオバルトが呆れた顔でクルトの声量を注意した。
「ルティアが落ち着いて休めないだろう。仕事を手土産にくれてやるから、今日は帰るんだ」
「それ殿下が後回しにした仕事の後処理じゃないですかぁ!」
「仕方がないだろう。ルティアが大変な目に遭って、仕事どころじゃなかったんだから」
いいからさっさと行け、と命じられ、クルトは口を尖らせる。
「もう! わかりましたよ! お邪魔虫は退散します! ルティア嬢とどうぞ思う存分イチャラブしてください! ルティア嬢!」
「は、はい」
「こんな殿下ですが、どうぞよろしくお願いします! では失礼いたします!」
「え、あ……」
こちらが話す隙を一切与えず、一方的に自分の言いたいことを言い終えてクルトは出て行ってしまった。ポカンとするルティアに、まったく……とテオバルトも呆れていた。
「嵐みたいなやつだな……騒がしいやつですまない」
「いえ……こちらこそいろいろご迷惑をおかけしてしまって、申し訳なかったです」
「クルトにはいつも俺のことで散々迷惑かけているから、慣れている。気にするな」
「それは、いいのでしょうか……」
「今度お礼を言ってやればいい」
そうしますとルティアは困ったように微笑んだ。テオバルトも笑みを返し、看護師にルティアの体調を調べさせた。
「このぶんだと、あと数日で退院できるかと思われます」
「本当か」
「はい」
よかった、とテオバルトが大きく安堵する。服用している薬についての注意点をいくつか受けると、看護師は部屋を後にし、ルティアはテオバルトと二人きりになった。
いつもあれこれと話し始めるのに、テオバルトは何か考えるように黙り込んでいる。ルティアはずっと考えていたことをどう切り出そうかと迷ってしまう。
「……あの、テオバルト様」
「クローゼ公爵に、会いたいか」
ルティアは目を瞠った。
「会って、よろしいんですか」
「本音を言えば、嫌に決まっている。絶対に会ってほしくない。だがあなたのことだから、反対しても俺に隠れてこっそり会いに行きそうだからな。それなら初めから俺と一緒に会わせた方がいろいろと安心できる」
それで、どうする? とテオバルトの目は問いかける。ルティアの答えは決まっていた。
「ご面倒をおかけしますが、会わせてくださると助かります」
テオバルトは覚悟を決めたように、わかったと頷いた。
「ルティアが落ち着いて休めないだろう。仕事を手土産にくれてやるから、今日は帰るんだ」
「それ殿下が後回しにした仕事の後処理じゃないですかぁ!」
「仕方がないだろう。ルティアが大変な目に遭って、仕事どころじゃなかったんだから」
いいからさっさと行け、と命じられ、クルトは口を尖らせる。
「もう! わかりましたよ! お邪魔虫は退散します! ルティア嬢とどうぞ思う存分イチャラブしてください! ルティア嬢!」
「は、はい」
「こんな殿下ですが、どうぞよろしくお願いします! では失礼いたします!」
「え、あ……」
こちらが話す隙を一切与えず、一方的に自分の言いたいことを言い終えてクルトは出て行ってしまった。ポカンとするルティアに、まったく……とテオバルトも呆れていた。
「嵐みたいなやつだな……騒がしいやつですまない」
「いえ……こちらこそいろいろご迷惑をおかけしてしまって、申し訳なかったです」
「クルトにはいつも俺のことで散々迷惑かけているから、慣れている。気にするな」
「それは、いいのでしょうか……」
「今度お礼を言ってやればいい」
そうしますとルティアは困ったように微笑んだ。テオバルトも笑みを返し、看護師にルティアの体調を調べさせた。
「このぶんだと、あと数日で退院できるかと思われます」
「本当か」
「はい」
よかった、とテオバルトが大きく安堵する。服用している薬についての注意点をいくつか受けると、看護師は部屋を後にし、ルティアはテオバルトと二人きりになった。
いつもあれこれと話し始めるのに、テオバルトは何か考えるように黙り込んでいる。ルティアはずっと考えていたことをどう切り出そうかと迷ってしまう。
「……あの、テオバルト様」
「クローゼ公爵に、会いたいか」
ルティアは目を瞠った。
「会って、よろしいんですか」
「本音を言えば、嫌に決まっている。絶対に会ってほしくない。だがあなたのことだから、反対しても俺に隠れてこっそり会いに行きそうだからな。それなら初めから俺と一緒に会わせた方がいろいろと安心できる」
それで、どうする? とテオバルトの目は問いかける。ルティアの答えは決まっていた。
「ご面倒をおかけしますが、会わせてくださると助かります」
テオバルトは覚悟を決めたように、わかったと頷いた。