可哀想な猫獣人は騎士様に貰われる
 レジーが今度こそ声を詰まらせ、うろうろと視線を泳がせる。これは罪悪感から来る仕草ではない。どうにか自分を正当化しようと下らない思考を巡らせているだけだ。

 オーランドは今まで溜まっていた鬱憤を口に出したことで少しばかり気が晴れたが、レジーに対する苛立ちや嫌悪感は今なお健在である。

 深い溜息と共に脚を緩く組み、オーランドは顎をくいと動かした。

「帰れ。お望み通り、お前は清廉潔白な指導者として革命を終えた。それ以上を望むなら……自分で力を付けるなり、掻き集めるなりしてみることだ」

 出来るものならな。

 ブルーム王国に楯突くような動きを見せたが最後、レジーの周りにいる者たちはあっさりと彼を始末するだろう。元から彼らはレジーの仲間ではなく、オーランドの部下なのだから。

 新生アゼリア王国は、ブルーム王国の、いやヴァレリアン王の忠実な手駒となったのである。そうとも知らずに呑気に正義を謳っていたことに気付いたのか、レジーはすっかり青くなって沈黙した。

「それから」

 華麗に踊ってくれた愚かな傀儡に向けて、オーランドは低い声で告げたのだった。

「二度とジルの前に現れるな。今度また勝手に彼女に触ろうものなら、その指切り落とすぞ」

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