可哀想な猫獣人は騎士様に貰われる
触れ合わせるだけだった唇が離れ、また隙間なくくっついて。熱い手が背中に回されたかと思えば、ずるりと体を椅子から引きずり下ろされる。
バルコニーの床にあぐらをかいたオーランドは、膝の上に座らせたジルを深く抱き込んでキスを続けた。体の大きなオーランドの腕から逃れられるはずもなく、ジルは生理的な涙を滲ませながら必死に息を吸い込む。
「ぁ、う、ま、まって、オーランド様」
「ひと月待ったぞ」
やがて、あまりの勢いについつい待ったを掛けたが、ひと言で一蹴されてしまった。懇願するように視線を合わせても、オーランドは額をこつりと突き合わせて意地悪く微笑むだけ。
確かに求婚の返事は早めにしてくれと言われたのに、気付けば一ヶ月も経っていたのは申し訳なかった。あまりにも居心地が良くてのんびりしてしまって……とジルがしゅんと耳を伏せれば、無骨な指がそこを擽る。
「ひぁ」
「どうやって触ってほしい? ジル」
ふにふにと耳の付け根辺りを優しく撫でられる傍ら、額には何度も唇が押し付けられる。甘やかな刺激に目を白黒させながら、ジルは口をパクパクと動かした。
「どう、やって? わかりません……ひ、姫様のときと、同じように……?」
「それは無理だな。ジルにはとびきり優しく触れたい」
「ひ」
耳の内側、一際ふわふわしたところに唇を近づけて囁かれる。びくりと大きく背中を震わせたジルは、羞恥のあまりオーランドの胸元に顔を伏せてしまった。
「ジル……任務を放棄して、君を連れ出してしまいたいと何度思ったことか。あと何度、この体に痣が浮くのを見ればいいのかと」
「……痣は、もうほとんど消えました……」
「ああ。本当に良かった」
ここへ連れて来てくれたオーランドと、毎日手入れをしてくれたメイドたちのおかげで、ジルの体は見違えるほど綺麗になった。以前は手足にも胴体にも、どこかしらに痣や傷があるのが当たり前だったのに。
滑らかな白い腕をちらりと見遣れば、そこを大きな褐色の手が撫で擦る。その慈しむような動きを見ただけでどうしようもなく頬が火照ったジルは、慌ててまた顔を伏せた。
バルコニーの床にあぐらをかいたオーランドは、膝の上に座らせたジルを深く抱き込んでキスを続けた。体の大きなオーランドの腕から逃れられるはずもなく、ジルは生理的な涙を滲ませながら必死に息を吸い込む。
「ぁ、う、ま、まって、オーランド様」
「ひと月待ったぞ」
やがて、あまりの勢いについつい待ったを掛けたが、ひと言で一蹴されてしまった。懇願するように視線を合わせても、オーランドは額をこつりと突き合わせて意地悪く微笑むだけ。
確かに求婚の返事は早めにしてくれと言われたのに、気付けば一ヶ月も経っていたのは申し訳なかった。あまりにも居心地が良くてのんびりしてしまって……とジルがしゅんと耳を伏せれば、無骨な指がそこを擽る。
「ひぁ」
「どうやって触ってほしい? ジル」
ふにふにと耳の付け根辺りを優しく撫でられる傍ら、額には何度も唇が押し付けられる。甘やかな刺激に目を白黒させながら、ジルは口をパクパクと動かした。
「どう、やって? わかりません……ひ、姫様のときと、同じように……?」
「それは無理だな。ジルにはとびきり優しく触れたい」
「ひ」
耳の内側、一際ふわふわしたところに唇を近づけて囁かれる。びくりと大きく背中を震わせたジルは、羞恥のあまりオーランドの胸元に顔を伏せてしまった。
「ジル……任務を放棄して、君を連れ出してしまいたいと何度思ったことか。あと何度、この体に痣が浮くのを見ればいいのかと」
「……痣は、もうほとんど消えました……」
「ああ。本当に良かった」
ここへ連れて来てくれたオーランドと、毎日手入れをしてくれたメイドたちのおかげで、ジルの体は見違えるほど綺麗になった。以前は手足にも胴体にも、どこかしらに痣や傷があるのが当たり前だったのに。
滑らかな白い腕をちらりと見遣れば、そこを大きな褐色の手が撫で擦る。その慈しむような動きを見ただけでどうしようもなく頬が火照ったジルは、慌ててまた顔を伏せた。