素直になりなよ。
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俺には両親がいない。
小学校に上がる前、交通事故で2人共死んだ。
それからは8つ年上の姉貴と一緒に、田舎のじいちゃんとばあちゃんの家で世話になった。
「翔はボール捌きがうまいなぁ!将来はサッカー選手かな!?」
なんて、ビールを飲みながら嬉しそうに笑うじいちゃんの顔が好きで、田舎の小学校で友達とサッカーばかりしていた。
今思えば、両親が急にいなくなった寂しさを忘れるためにも、何か打ち込めるものが欲しかったのかもしれない。
何年か経って、姉貴が高卒で大手の会社に内定をもらったから、姉貴が社会人になったタイミングで2人で田舎を離れて、都市圏へ引っ越した。
「翔、体に気をつけてサッカーしろよ!スポーツ選手は体が資本だからな!」
じいちゃんにそう言われ、俺はそれからずっと風邪もひかずに元気に過ごしていた。
こじんまりとしたアパートで、姉貴と2人暮らしをしながら、中学になってもサッカーに打ち込んだ。