身代わり婚約者との愛され結婚
 そんな様子を見ていたレヴィンが、突然ぷっと吹き出して。

「……レヴィン」
「すみません、あまりにも真っ赤になるから」
「ちょっと! からかっていたのは私だったのに!」

 からかわれていたことに気付いた私が、ちょっと理不尽な文句を言うが、その言葉を聞いたレヴィンがとうとうお腹を抱えて笑い出してしまう。

“な、なによ……!”

「いつから気付いてたの?」
「そりゃ、ティナが手綱を離した馬が水を飲んだ後真っ直ぐあそこの木の下で寝転がったからですかね」
「!」

 指差された先を見た私は思わず半眼になってしまう。

“確かに、あんなにリラックスしているところを見せられるといつもの場所だとわかってしまうわね”

 馬に対して怒るなんて出来ないので、少しだけやさぐれた気持ちになるが、そんな私の頬を撫でるようにそっとレヴィンが触れて。


「……先日は押し花をありがとうございます。嬉しかった」
「そ、そう……?」

 真っ直ぐ見つめられると、私の機嫌は一瞬で直ってしまう。

“ハンナにもお礼を言わなくちゃ”

 
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