身代わり婚約者との愛され結婚
「そのお礼に、今日はクラウリー領で最近育て始めたサギソウの押し花で作ったしおりをお持ちしました」

 話しながらそっと目の前に差し出されたのは、確かに白い鳥が羽ばたいているような神秘的で美しい花で作られた小さなしおり。

「乗馬には不向きかと思い、今日は花束ではなく荷物にならないこちらにしました」
「まぁ……、なんて可愛いの」

 渡されたそのしおりも、そしてレヴィンのその気遣いも堪らなく嬉しい。

“レヴィンが作ってくれたのかしら?”

 一緒にいない時間も、私のことを考えてくれていたように感じた私がそのしおりをぎゅっと抱き締めると、そんな私の手にレヴィンが手を重ねる。


「……サギソウの花言葉は、夢でもあなたを想う、です」
「夢でも……想う……」


 告げられたその花言葉にドキリと胸が跳ねる。
 苦しいくらい響く鼓動が嫌ではなくて、そして私の手に触れているレヴィンの指が少し震えているような気がして。


「私も、です」
 

 それは本当に自然と私の口から出た本音。
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