身代わり婚約者との愛され結婚
 舌が強く絡められ、そのまま吸われると苦しさの先に心地よさがあり、私の脳を痺れさせた。


 くちゅくちゅと繰り返し角度を変えて深く深く口付けを交わしていると、段々と私の体から力が抜けてカクンと腰が抜ける。


「あ……っ!」


 そんな私の体をすぐに支えてくれたレヴィンは、そのまま膝裏に腕を入れて抱き上げた。


「ま、待ってっ! 重いから……っ」
「ティナがですか? むしろもっと食べた方がいいと思いますけど」

 焦る私を無視して大きな木の影に下ろされる。
 バサリと脱いだ上着を敷いたレヴィンは、その上着の横に座り込んだ。


“上着の上に座れってことかしら?”

 どうしようかと迷っていると、レヴィンが私の手を軽く引っぱる。
 彼の手に導かれるように、促されるまま座ったのはレヴィンの上着ではなく、彼の膝の上だった。


「なっ、ど、どうして……っ」

“膝に座らせるなら、この敷いた上着は何だったのよ……!?”

 戸惑いと混乱であわあわとしていると、向かい合う形で座った私の腰をレヴィンの左腕がしっかりと固定する。

 更に彼の右手がそっと私の頬に添えられて。 

「ティナ」
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