身代わり婚約者との愛され結婚
「先月は私の体調を気遣ってのんびり座って話をするだけだったわね」

 あと何回こういう時間を過ごせるかわからないなら、精一杯楽しい思い出をつくりたい。

 ならば今日はどこかに行こうかしら、なんて考える。
 レヴィンとの時間をどう過ごすか考えていると少し気が紛れ、わくわくした気持ちで約束の時間のために準備した。 



 流石に遠駆けに突然連れ出すのは無理なので、また街中をぶらりとしようか、と考えた私が動きやすいワンピースに近い薄めのドレスに袖を通す。

 ポケットに入れた懐中時計でいつものように時間を確認し、そろそろ来るだろうと思った私は玄関ロビーでレヴィンを待つことにした。


「綿菓子美味しかったわね。他にはどんなお菓子があるのかしら?」

 あの時ちらっと見たのは、パンにソーセージを挟んだもの。
 何故同時に食べるのかわからなかったが、一緒に食べれば時短になるのは間違いなく、そして実際に食せば効率以上の発見もあるかもしれない。

“レヴィンは食べたことあるかしら?”

 あるならば食べ方を聞き、ないなら周りの見よう見まねで二人して食べるのも楽しいだろう。
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