身代わり婚約者との愛され結婚
「そうですね、本当に通行出来なくなってしまったらクラウリー伯爵家は生花の納品が出来なくなるでしょう」
「だったら……!」

 淡々と告げられる事実に、くらりと目眩がする。

“どうしてそんなに平然と……!”


 そしてそこで、あることに気付いた。
 もしかしてレヴィンは。

 
「このまま私とベネディクトが結婚すればいい、ってこと?」


 助けに来てくれたのだから、当然私とベネディクトの結婚を阻止したいと思ってくれているとそう思ったが、もしそうでないのだとしたら。


「確かにそれが、一番わかりやすくて一番正しい答えなのかもしれないけれど」

“想うのは夢の中だけで、レヴィンは私のことを本当に好きじゃなかったのかも”

 そう思ったら、私の視界がまた揺れる。
 さっきとは違う胸の苦しさを感じ、思わず俯くと、そんな私の顔をそっと上げたレヴィンが私の唇を奪うように重ねた。


「んっ」
「……そんなこと、言わないでください」

 何度も角度をかえ、啄むように口付けを降らせるレヴィン。
 重ねられる少しかさついた唇が、私の胸を熱くさせる。

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