身代わり婚約者との愛され結婚
だから、私も。
背筋を真っ直ぐ伸ばし、彼が泣かせたいと思ってくれた誰よりも強い私の仮面を被り、ニークヴィスト侯爵家へと出発したのだった。
初めて足を踏み入れるニークヴィスト侯爵家。
「流石儲けてるだけあるわね」
思わずそう呟いてしまうほど、至るところによくわからない絵画や像などが飾られていて。
“そして侯爵はともかくベネディクトすら出迎えに来ないなんて!”
完全にこの適当な対応に思わずため息が出てしまう。
一応はまだ婚約中で、そして婚約者である私が初めてここまで来たのだからそれくらいはしてくれてもいいと思うのだが……
「まぁ、私もベネディクトが来ても出迎えに行かないものね」
どこまでいっても、私たちの関係なんてその程度なのだと改めて実感させられた。
ニークヴィスト侯爵家の侍従に案内された応接室に入ると、意外なことに既にニークヴィスト侯爵が待っていて。
「ニークヴィスト侯爵様にご挨拶申し上げます。エングフェルト公爵家、アルベルティーナでございます」
さっとカーテシーをするが、立ち上がる様子すら見せない侯爵に少し戸惑った。
背筋を真っ直ぐ伸ばし、彼が泣かせたいと思ってくれた誰よりも強い私の仮面を被り、ニークヴィスト侯爵家へと出発したのだった。
初めて足を踏み入れるニークヴィスト侯爵家。
「流石儲けてるだけあるわね」
思わずそう呟いてしまうほど、至るところによくわからない絵画や像などが飾られていて。
“そして侯爵はともかくベネディクトすら出迎えに来ないなんて!”
完全にこの適当な対応に思わずため息が出てしまう。
一応はまだ婚約中で、そして婚約者である私が初めてここまで来たのだからそれくらいはしてくれてもいいと思うのだが……
「まぁ、私もベネディクトが来ても出迎えに行かないものね」
どこまでいっても、私たちの関係なんてその程度なのだと改めて実感させられた。
ニークヴィスト侯爵家の侍従に案内された応接室に入ると、意外なことに既にニークヴィスト侯爵が待っていて。
「ニークヴィスト侯爵様にご挨拶申し上げます。エングフェルト公爵家、アルベルティーナでございます」
さっとカーテシーをするが、立ち上がる様子すら見せない侯爵に少し戸惑った。