身代わり婚約者との愛され結婚
ふと目についたのは、劇場前にあるクラウリー領から花を仕入れていると言っていたあの花屋さんだった。
“何か買って帰ろうかしら”
「花のある生活に慣れてしまっただけだから!」
誰にでもない言い訳をしつつ、レヴィンと贈りあった花を思い出し頬が緩む。
どうせだったら花言葉の本も持ってくれば良かったかも、なんて思いながら店内を覗いた私は呆然とした。
「……花が、全然ないわ……」
王都一番の劇場前という一等地に構える花屋なのに、飾ってあるのはもう枯れかかった鉢植えが数個だけ。
“どういうこと?”
いくら一等地だからといって、流石に全て完売したとは考えられない。
唖然としながら店内に足を踏み入れると、そんな私に気付いたのか店主が声をかけてきた。
「大変申し訳ありません、現在生花が……、おや? もしかして以前クラウリー様とご一緒されていた……」
「あ、えぇ。アルベルティーナ・エングフェルトですわ」
どうやらレヴィンと来た時のことを覚えていたらしく、店主に声をかけられた私が名乗ると公爵家だと気付いたのか慌てて頭を下げられた。
“何か買って帰ろうかしら”
「花のある生活に慣れてしまっただけだから!」
誰にでもない言い訳をしつつ、レヴィンと贈りあった花を思い出し頬が緩む。
どうせだったら花言葉の本も持ってくれば良かったかも、なんて思いながら店内を覗いた私は呆然とした。
「……花が、全然ないわ……」
王都一番の劇場前という一等地に構える花屋なのに、飾ってあるのはもう枯れかかった鉢植えが数個だけ。
“どういうこと?”
いくら一等地だからといって、流石に全て完売したとは考えられない。
唖然としながら店内に足を踏み入れると、そんな私に気付いたのか店主が声をかけてきた。
「大変申し訳ありません、現在生花が……、おや? もしかして以前クラウリー様とご一緒されていた……」
「あ、えぇ。アルベルティーナ・エングフェルトですわ」
どうやらレヴィンと来た時のことを覚えていたらしく、店主に声をかけられた私が名乗ると公爵家だと気付いたのか慌てて頭を下げられた。