身代わり婚約者との愛され結婚
 それはどう転んでもニークヴィスト侯爵家にメリットしかない提案だった。


 もちろんこれはあくまでも私の想像ではあるが――……

“でも、きっと合ってる”

 そうでなければ、あれだけ花を大事にしていたレヴィンの家が花を枯らせたり出荷出来なくなる可能性のある提案を自ら申し入れるはずがないから。


「こんなの、ダメよ……」

 私のせいで、レヴィンの家がこんなことになっていると知り目の前が暗くなる。

 
“まさかこんなことになるなんて!”

 現状を知った私は、今更ながらにあの日婚約破棄の手続きを完了させてしまったことを後悔した。

 もしまだ婚約破棄の手続きを終えていなければ、慰謝料を公爵家で用意するからとクラウリー領を守れたがそれも叶わない。

 あとから追加で慰謝料が請求できないように、後から逆に責任を取ることも出来ないとこのターンバル国では決まっているからだ。

「どうして」

“レヴィンはこうなることがわかっていたってこと?”

 もしくは最初からこうするつもりだったのか。


「だからわざわざあんな約束をしたの?」

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