身代わり婚約者との愛され結婚
　無邪気に笑う彼女に毒気を抜かれつつ案内された庭園に足を踏み入れると、同じくらいの年齢の令嬢が何人もいた。

“まさか今から囲まれて嫌みを……！”

「まぁ！　アルベルティーナ様だわっ」
「お初にお目にかかります。この度は大変お疲れ様でした……！」
「どうぞこちらにお座りください、みんなアルベルティーナ様のことを心配していたんですよ」

“……言われなさそう、ね？”


　想像していたよりもずっと好意的に迎えられた私が唖然としていると、主宰でもあるマリエッテ様がまるでメイドのように私の椅子を引いてくれた。

　
「そんなことなさらなくても……！」
「いいえ、いいんです。私たち、みんなアルベルティーナ様に感謝しているんですよ」
「か、感謝ですか……？」

“どういうこと？”

　まるで理解が追い付かないが、促されるまま椅子に腰かける。


「実はここにいるのはみんなニークヴィスト侯爵令息からちょっかいをかけられた子たちばかりなんです」
「ニークヴィスト侯爵令息って……まさかベネディクト様のことですか？」

　話された内容にギョッとしながらそう聞くと、そこにいる令嬢全員が頷きゾッとした。
< 187 / 269 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop