身代わり婚約者との愛され結婚
27.幻想世界に魅入られて
「今回、クラウリー家が飾り付けを担当することになったのはニークヴィスト侯爵家からの進言だ」
「え……?」
「もちろん、前回の飾り付けが好評だったという理由で、それに宰相殿も賛同されたからだが」
「建前、よね」
少し歯切れの悪い言い方の父に、私の声も暗くなる。
そんな私に気付いた父は、少し眉を下げて私の顔を覗き込んできて。
「ウチから援助を申し込もうか?」
告げられた言葉にビクッと肩が跳ねた。
“レヴィンのこと、気付いていたのね”
父からのその言葉は、まるで甘味のように私を誘うようで――頷きたい気持ちを必死に抑え、私はゆっくり首を左右に振った。
“優先順位は、間違えないわ”
だってそれがレヴィンとの約束だから。
「いいえ。今ここで公爵家がクラウリー伯爵家へ援助をすれば、そこをニークヴィスト侯爵家がどう捉えるかわかりません」
無茶苦茶な言いがかりをつけられるかもしれない。
そして言いがかりをつけることこそが狡猾なニークヴィスト侯爵の狙いかもしれないのだ。
“結局どこまでいっても見守るしか出来ないのね”
余りにも無力な自分が嫌になる。
「え……?」
「もちろん、前回の飾り付けが好評だったという理由で、それに宰相殿も賛同されたからだが」
「建前、よね」
少し歯切れの悪い言い方の父に、私の声も暗くなる。
そんな私に気付いた父は、少し眉を下げて私の顔を覗き込んできて。
「ウチから援助を申し込もうか?」
告げられた言葉にビクッと肩が跳ねた。
“レヴィンのこと、気付いていたのね”
父からのその言葉は、まるで甘味のように私を誘うようで――頷きたい気持ちを必死に抑え、私はゆっくり首を左右に振った。
“優先順位は、間違えないわ”
だってそれがレヴィンとの約束だから。
「いいえ。今ここで公爵家がクラウリー伯爵家へ援助をすれば、そこをニークヴィスト侯爵家がどう捉えるかわかりません」
無茶苦茶な言いがかりをつけられるかもしれない。
そして言いがかりをつけることこそが狡猾なニークヴィスト侯爵の狙いかもしれないのだ。
“結局どこまでいっても見守るしか出来ないのね”
余りにも無力な自分が嫌になる。