身代わり婚約者との愛され結婚
 そんな父に思わずふふ、と笑いが込み上げてしまう。

「私なら大丈夫ですから」

 安心させるべく力強く頷く私を見た父は、それでもまだ少し心配そうに、けれど軽く頷き返してくれた。


「私たちもすぐに行くから、なるべく一人で行動せずお友達を見つけたらすぐにそっちへ行くんだよ」
「お父様は私をいくつだと思っているのかしら?」

 王家主宰の王城のパーティーでは、爵位に基づいた入場が決められている。

 現公爵である父と、父がエスコートする母は陛下の一つ前の順番、つまり最後から二番目での入場が決まっていた。

 それに対し、現状ただ公爵家に生まれただけの私は王城へ到着次第ホールに入れられ爵位のある貴族が入場するのを待つことになる。


“待ち時間、ずっと一人は確かに心細いけど”

 もしかしたらマリエッテ様たちがいるかもしれないし、それに……


“レヴィンも、いるかもしれないわ”


 スペアであるレヴィンも、王城についたらすぐにホールへ入れられる。
 
 もし今日の夜会にレヴィンも来ているなら、数ヶ月ぶりに会えるかもしれないと私の胸は高鳴った。

 
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