身代わり婚約者との愛され結婚
 私の求める条件全てを兼ね備えているベネディクトだが、そのベネディクト相手に恋する自分というのはどうしても想像が出来ない。

 性格や態度、何より自分の身代わりとして他の人を送り続ける相手に好感なんて芽生えるはずもなくて。

“それに、見た目だって”

 やんちゃそうな赤茶の髪にアーモンドのような瞳、どこか飄々とした遊び人風の雰囲気は確かに令嬢に人気がある。

 けれど不誠実だと思っているせいか私には軽薄そうに見え、その容貌にもあまり惹かれない。


“どちらかといえば、私はやっぱりクールで落ち着いた”

 ――そう、まさにレヴィン様のような。

「って、何を考えてるの……!?」
 
 
 ふとそんな考えが過った私は、その思考を追い出すように慌てて頭を左右に振ったのだった。



 そんな両親との食事を終えた後は生誕パーティーの準備である。

 食事の手配や屋敷の飾り付けなどは事前に打ち合わせを済ませており、今から私がすべきことは主役としてもはじめての夜会としても恥ずかしくない身だしなみと心構え。

 それはつまり。


「もう少し締めますよ、アルベルティーナお嬢様……!」
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