身代わり婚約者との愛され結婚
29.小さな花に想いを託して
私の行動に驚いたのか、彼のアメジストのような紫の瞳が一瞬見開かれ――そして、すぐに蕩けるように細められる。
「……ティナに、渡したいものがあるんです」
「渡したいもの?」
しゃがみこんでいたレヴィンが立ち上がったと思ったら、噴水の影から四角い何かを持ち上げそしてまた私の目の前に跪いた。
「これを渡したくてティナのことを探していたら、突然叫び声が聞こえて本当に驚きました」
ふぅ、と少しため息混じりにゆっくりとかけられていた布をほどくレヴィン。
それは、胸くらいの大きさの額縁のようだった。
“額縁ってことは、何かの絵なのかしら”
何なのかわからず、外されていく被せ布を見ながら額縁の裏側を見ていると、外した布を噴水の縁に置いたレヴィンがくるりと私に絵画面を向けて差し出した。
「受け取ってくれますか?」
「これって……!」
それは、色とりどりの押し花で作られた私の肖像画で。
「凄いわ、とても細かいのね」
まるで筆で描いたように様々な色の押し花を組み合わせ、指を組んだ私の横顔を作っていた。
“押し花をこんな風に使うなんて”
「……ティナに、渡したいものがあるんです」
「渡したいもの?」
しゃがみこんでいたレヴィンが立ち上がったと思ったら、噴水の影から四角い何かを持ち上げそしてまた私の目の前に跪いた。
「これを渡したくてティナのことを探していたら、突然叫び声が聞こえて本当に驚きました」
ふぅ、と少しため息混じりにゆっくりとかけられていた布をほどくレヴィン。
それは、胸くらいの大きさの額縁のようだった。
“額縁ってことは、何かの絵なのかしら”
何なのかわからず、外されていく被せ布を見ながら額縁の裏側を見ていると、外した布を噴水の縁に置いたレヴィンがくるりと私に絵画面を向けて差し出した。
「受け取ってくれますか?」
「これって……!」
それは、色とりどりの押し花で作られた私の肖像画で。
「凄いわ、とても細かいのね」
まるで筆で描いたように様々な色の押し花を組み合わせ、指を組んだ私の横顔を作っていた。
“押し花をこんな風に使うなんて”