身代わり婚約者との愛され結婚

「とにかく、クラウリー家の元の事業は潰えますが、それでも新しい事業で必ず価値を証明いたします。ですので俺をアルベルティーナお嬢様の……っ」
「潰えさせる必要はないんじゃない？」
「え？」

　
　机に並べられたアクセサリーを手に取った父も、先ほどのレヴィンに習い光に透かす。

　透明でまるで生花をそのまま閉じ込めた宝箱のようなそのアクセサリーが美しいと私は思った。

　
「この事業は、成功するね。夜会での飾り付けも注目を浴び、それを足掛かりに大々的に売り出せば必ず成果は見込めるだろう」
「あ、ありがとうございます！」
「クラウリー領で作った花は、あの美しい造花とアクセサリーに加工して……けれど、生花には生花にしかない美しさがある」

“それはそうなんだけれど……”


　けれど、クラウリー領から生花を王都に持ち込むならば、やはりどうしても三倍の通行料がネックだった。

“その分花の値段を上げるのも現実的じゃないわ、花の寿命は短いもの”

　値段が上がれば、気軽に買えていた頃とは違い売れ残り枯れてしまう花も多くでてしまう。