身代わり婚約者との愛され結婚
 重ねるように告げられたその事実に、唖然とした私たちは思わずぽかんと口を開いて固まった。


“ひ、一晩で何があったの”

 確かに父が帰ってくるのが遅かった。
 
 遅かったが、まさか夜会でそんな話を進めているとは思わず、そんな出来事をへらりと話す父にくらりと目眩がして。


「もうほんと、敵わないわ……」
「そりゃあ、まだまだ現役だからね。二人で精々私を目指してくれたらいいよ」

 クックと笑う父に、勝てる日が来るのかしらと私は内心そんなことを考えていた。




 そんな挨拶の日から一週間で私とレヴィンの正式な婚約が結ばれた。
  
 このターンバル国唯一の公女、それも次期公爵の私の婚約だ。
 
 本来ならば、婚約式などを大々的に行うべきところではあるのだが、一応婚約破棄したばかりだから、という理由で書類にサインするだけの簡易な手続きだけで終わらせた。


 そしてその婚約から今日で2ヶ月。

「ティナ、また根を詰めているのですか?」
「レヴィンに言われたくはないのだけれど」

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