身代わり婚約者との愛され結婚
「ふふ、すぐそういうこと言うんだから」


　穏やかに取り留めのない会話を重ねながら、レヴィン用だった紅茶を一口飲む。
　
　少しだけ苦味も伴うその甘いジャムが口の中に広がると、この緩やかな時間にホッとした。


「とうとう明日ね」
「えぇ、そうですね」


　また入れればいい、と言っていたジャムを結局入れないままストレートティーを口にするレヴィンをじっと眺める。
　

“明日、結婚式なのね”


　書類上正式な婚約者になったのは２ヶ月前ではあるが、元々ベネディクトの身代わりとして私が四年間過ごしてきたのは他でもないレヴィンで。

“だからかしら？　むしろ遅くすら感じるのよね”

　でもそれは、私側の話だ。


「レヴィンは、もう結婚してしまって良かったの？」

　私の質問を聞いたレヴィンが、きょとんとした顔を向けてくる。

　そしてすぐにふはっと小さく吹き出して。


「俺としては、やっとという感じですよ」
「でも、婿入りすることになるのよ？」
「もう一緒に住んでいる時点でそこは変わりないですかね」
「それはまぁ、そうなのだけれど」

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