身代わり婚約者との愛され結婚
「はいっ! その意気です!」

“苦しいけど、そこまで長時間のパーティーでもないし大丈夫よね?”
 
 少しだけ不安になった私だったが、微笑みながらそういうとハンナも嬉しそうな笑顔を向けてくれたのでホッとした。

 

 
 そんなやり取りをしているとあっという間にパーティーの開始時間が迫る。

“ベネディクトはまだかしら”
 
 流石に来るわよね? と、今までされた仕打ちを思い出し少しずつ焦りが滲む。

 いや、彼の事だからもしかしたらギリギリになって『仕事が』なんて言って来ないかもしれない……なんて不安になった時だった。


「アルベルティーナお嬢様、ご、ご婚約者様……の」
「だ、代理? 代理なの……!?」

 控え室の扉をノックしメイドが声をかけてくる。
 言葉の先を想像し、じわりと額に汗を滲ませた私に告げられたのは。


「酷いな、ちゃんと本人ですよ? アルベルティーナ嬢」
「べ、ベネディクト様!」

 そこにいたのは、赤茶色の髪にアーモンドカラーの瞳を楽しそうに細めた、婚約後はじめて会う自身の婚約者だった。
 

“ほ、本人!”
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