身代わり婚約者との愛され結婚
 ページ全体に大きく描かれたその花は、ベッドに飾られている花と同じで。


「プリムラ……」
「花言葉は、永続する愛情、ですよ」
「きゃぁあ!」

 いつの間にか来ていたらしいレヴィンに背後から突然声をかけられ、思わず叫び声を上げてしまう。

「夢中になっていたんですね」

 そんな私を見てくすくすと笑ったレヴィンは、本をさっと私から取り上げてサイドテーブルに置いた。


「まだ見てたのに」
「いくらでもお教えしますよ。……でも今は、俺に夢中になってください」
「ッ」

 ちゅ、と唇を重ねたレヴィンに手を引かれた私は、そのまま促されるようにベッドに腰かける。

 
“とうとう今日……”


 今まで何度か触れ合ったけれど、更に一歩深いところまで今から触れられてしまうのだと思うと私の鼓動がドクドクと早鐘を打った。


「緊張していますか?」
「そんなこと……っ」

“ない、はずがないのよね……!”

 反射的に違うと言いかけて、慌てて口を閉じる。
 それを聞く余裕がレヴィンにはあるのだと思うとやっぱり少し悔しくて。

「レヴィンは、緊張してないの?」
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