身代わり婚約者との愛され結婚
 そして少し不安になった私は、そっと彼の顔を覗き込むようにそう聞くと、すぐにぎゅ、と強く抱き寄せられた。


「……緊張、してないように思いますか?」

 ドクドクと跳ねる鼓動が触れた部分から伝わってきたことに安堵する。

“レヴィンも同じなのね”

 一緒だと思うと、さっきは見栄からか躊躇ったのに正直に話したくなるのは何故だろう。

 そんな自分の単純さに呆れつつ、私もレヴィンの背中にそっと腕を回した。


「私も緊張してるから、お互い様ってやつね」
「えぇ、そうですね」

 くすくすと笑い合った私たちは、どちらともなく口を閉じて。


「んっ」

 再びゆっくりと重なった唇は、先程までとは違いすぐに深く重なった。

“レヴィンの舌、凄く熱いわ”

 レヴィンの舌が唇をなぞり、誘われるように薄く口を開くとすぐにくちゅりと舌が入れられる。

 彼の舌を受け入れるように自身の舌をそっと伸ばすと、レヴィンの舌が私の舌を絡めとった。


「――っ、は、ぁっ」

 口内をかき混ぜられるように深く深くなっていく口付けに夢中になっていると、そっとレヴィンの手のひらが私の胸を撫でて。

「ひゃ……!」
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