身代わり婚約者との愛され結婚
 なんだかこの差に、具合が悪いというのに小さな笑いが込み上げた。
 
 指示されたベネディクトは、私の様子を確認してすぐに手を差し伸べてくれて。


「アルベルティーナ嬢、挨拶ばかりで疲れたでしょう? 少しだけ二人の時間、なんていかがでしょうか」
「えぇ、構いませんわ」

 なんとか平静を装った私の腰を引き寄せつつ周りにバレないよう体を支え、バルコニーまで連れてくれた。

 弾力が足りないな、とボソッと聞こえたことをスルーすれば、ベネディクトの対応もそれなりにスマートで、なんだかんだで令嬢人気があるという噂は本物なのだろうと実感する。


 風に当たりながら用意されていたベンチに座ると、婚約者同士とはいえ二人きりで長時間抜けることへの配慮からか、すぐに水を手にしたレヴィン様がかなり早歩きでやってきて。


「少しだけ口に含んでください、水分は補給した方がいい」
「ありがとうございます」

 私の前に跪くようにしゃがみ、グラスに入った水を差し出してくれる。

 一滴すら入らないほど締め上げられているが、やはり緊張もあり汗をかいていたのだろう。
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