身代わり婚約者との愛され結婚
5.身代わりだとしても、今は貴方が婚約者です
「……そろそろね」
婚約者との定例茶会、開始時刻の10分前を確認して椅子から立ち上がる。
キッカリ10分前にノックされ、温室に入ってきたのは少し軽薄そうに見える赤茶色の髪……では、なく。
“本当に美しいわね”
先日の夜会で見た時は黒にしか見えなかった、太陽光を透かして濃紺に輝く髪だった。
「レヴィン様、本日もお越しくださりありがとうございます」
「いえ、こちらこそ代理で申し訳ありません」
サッと頭を下げると頬に揺れる髪に心がつい高鳴る。
いつもは代理である旨の謝罪を受けたらすぐにベネディクトのどうせ嘘だろう言い訳を聞くのだが。
「こちらはアルベルティーナ嬢に」
「お花……?」
バサッと手渡されたのはまるで星のような花びらの花で作られた花束。
青と白でシンプルにまとめられたその花束は、その可愛らしい見た目から眺めるだけでも元気が出るようで。
「可愛いですね」
「ハナニラで作られた花束です」
告げられた花の名前には残念ながらピンとは来なかったが、この青色がもっと濃ければレヴィン様の髪色と同じね、なんて考えじわりと頬が熱くなる。
婚約者との定例茶会、開始時刻の10分前を確認して椅子から立ち上がる。
キッカリ10分前にノックされ、温室に入ってきたのは少し軽薄そうに見える赤茶色の髪……では、なく。
“本当に美しいわね”
先日の夜会で見た時は黒にしか見えなかった、太陽光を透かして濃紺に輝く髪だった。
「レヴィン様、本日もお越しくださりありがとうございます」
「いえ、こちらこそ代理で申し訳ありません」
サッと頭を下げると頬に揺れる髪に心がつい高鳴る。
いつもは代理である旨の謝罪を受けたらすぐにベネディクトのどうせ嘘だろう言い訳を聞くのだが。
「こちらはアルベルティーナ嬢に」
「お花……?」
バサッと手渡されたのはまるで星のような花びらの花で作られた花束。
青と白でシンプルにまとめられたその花束は、その可愛らしい見た目から眺めるだけでも元気が出るようで。
「可愛いですね」
「ハナニラで作られた花束です」
告げられた花の名前には残念ながらピンとは来なかったが、この青色がもっと濃ければレヴィン様の髪色と同じね、なんて考えじわりと頬が熱くなる。