身代わり婚約者との愛され結婚
 安物だとしても、これをプレゼントすればレヴィンはとても喜んでくれるという確信が私にはあって。

“"きっとベネディクトならすぐに捨てるのだろうけれど”

「カフスボタンですか?」
「えぇ、少し見てもいいかしら」
「もちろんですよ」

 すぐに頷いてくれたレヴィンと連れ立って店内に入る。
 私たちが入店したことに気付いた店主がすぐに近付いてきてくれたので、私は彼の綺麗な濃紺の髪に似た色のカフスボタンを指差し……


「こちらでしょうか」
「いいえ、やっぱりその隣の薄水色を包んでくださる?」

 その濃紺のカフスボタンの隣にあった、薄水色、私の瞳と同じ色のカフスボタンを購入した。


「お父様にですか?」
「いいえ」

“悪戯を仕掛ける時ってこんなにワクワクするものなのね”


 思い付きで購入直前に変えたカフスボタン。
 店外に出て、私の瞳と同じ色のそのカフスボタンを、薄水色の瞳を細めた私がレヴィンの胸元に押し付ける。


「私の身代わりの婚約者様にですわっ」
「えっ」
「ふふ、お礼になるかしら」

 受け取ったレヴィンの反応が気になり、緩みそうになる頬を叱咤しながら彼の顔を見上げて。
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