アンハッピー・ウエディング〜前編〜
俺、毎日弁当持ってきてたから、菓子パンってあんまり食べたことないんだけど。
最近は、なかなか色んな種類の菓子パンがあるんだな。
「ザクロジャムねぇ…。それって美味いのか?」
ザクロ…というものを、食べた記憶がないんだが…。
「美味いぜ。ちょっと食べてみるか?」
「あ、うん。ありがとう…」
ザクロジャムパンを、ちょっと千切って分けてもらった。
ごめんな、なんかせがんだみたいになっちゃって。そんなつもりはなかったんだが。
食べてみると、なかなか美味しかった。
へぇ、こんな味なのか。
「意外と美味いな」
「だろ?毎日菓子パン食ってるからさー。目新しい商品を見つけると、つい買っちゃうんだよな。おまけに2割引だし」
「ふーん…」
確かに、弁当のおかずも毎日同じだと飽きるもんな。
「星見の兄さんは、毎日弁当なのな。マメだな」
「そうか?中学の時からそうだったから…」
マメと言われても、ほとんど昨日の夕飯の残りばっかりだから…。
そんなに手がかかってるとは言えないんだよな。
「偉いなぁ、星見の兄さんのお袋さん」
あ?…あ、いや。
「母親じゃなくて、自分で作ってるんだよ」
「え、マジで?星見の兄さん、料理出来る人?」
「一応、それなりには」
めちゃくちゃ得意です、ってほどじゃないけど。
毎日キッチンに立ってるくらいには。
「大して上手くないけどな…」
「いやー。ご謙遜、ご謙遜。自分、目玉焼きでも爆発させるレベルの料理下手だから、普通に弁当作って持ってこられるだけで超偉いよ」
褒めてくれるのは嬉しいんだけど、目玉焼きを爆発させるってどういうこと?
まぁ、あれだよ。
袋麺を作るつもりで、魔女の毒薬みたいなものを錬成していた、うちのお嬢さんに比べたら。
目玉焼きを爆発させるくらい、可愛いもんだ。
「お弁当を自分で作る息子…。星見の兄さんのお袋さんは幸せ者だなぁ。親孝行な奴だよ君は」
「いや、別に…」
「…それに比べて、あっちのお兄さんは何やってんのかね?」
「…さぁ」
俺にもよく分かんねぇよ。
雛堂の言う「あっちのお兄さん」とは、乙無のことである。
昼休みだっていうのに、乙無は何もせず、ただ窓の外をぼんやりと眺めていた。
…何あれ?…たそがれてんの?
最近は、なかなか色んな種類の菓子パンがあるんだな。
「ザクロジャムねぇ…。それって美味いのか?」
ザクロ…というものを、食べた記憶がないんだが…。
「美味いぜ。ちょっと食べてみるか?」
「あ、うん。ありがとう…」
ザクロジャムパンを、ちょっと千切って分けてもらった。
ごめんな、なんかせがんだみたいになっちゃって。そんなつもりはなかったんだが。
食べてみると、なかなか美味しかった。
へぇ、こんな味なのか。
「意外と美味いな」
「だろ?毎日菓子パン食ってるからさー。目新しい商品を見つけると、つい買っちゃうんだよな。おまけに2割引だし」
「ふーん…」
確かに、弁当のおかずも毎日同じだと飽きるもんな。
「星見の兄さんは、毎日弁当なのな。マメだな」
「そうか?中学の時からそうだったから…」
マメと言われても、ほとんど昨日の夕飯の残りばっかりだから…。
そんなに手がかかってるとは言えないんだよな。
「偉いなぁ、星見の兄さんのお袋さん」
あ?…あ、いや。
「母親じゃなくて、自分で作ってるんだよ」
「え、マジで?星見の兄さん、料理出来る人?」
「一応、それなりには」
めちゃくちゃ得意です、ってほどじゃないけど。
毎日キッチンに立ってるくらいには。
「大して上手くないけどな…」
「いやー。ご謙遜、ご謙遜。自分、目玉焼きでも爆発させるレベルの料理下手だから、普通に弁当作って持ってこられるだけで超偉いよ」
褒めてくれるのは嬉しいんだけど、目玉焼きを爆発させるってどういうこと?
まぁ、あれだよ。
袋麺を作るつもりで、魔女の毒薬みたいなものを錬成していた、うちのお嬢さんに比べたら。
目玉焼きを爆発させるくらい、可愛いもんだ。
「お弁当を自分で作る息子…。星見の兄さんのお袋さんは幸せ者だなぁ。親孝行な奴だよ君は」
「いや、別に…」
「…それに比べて、あっちのお兄さんは何やってんのかね?」
「…さぁ」
俺にもよく分かんねぇよ。
雛堂の言う「あっちのお兄さん」とは、乙無のことである。
昼休みだっていうのに、乙無は何もせず、ただ窓の外をぼんやりと眺めていた。
…何あれ?…たそがれてんの?