アンハッピー・ウエディング〜前編〜
しかし、改めて考えてみると。

あの無月院家のご令嬢と、気さくに名前で呼び合う友達って…。

俺も、なかなか大胆なことをしてるよなぁ。
 
でも、別に良いだろ?

言うほどこのお嬢様、お嬢様じゃないし。

ただの寂しがり屋の6歳児みたいなもんだぜ。

「じゃあ悠理君、早速一緒に遊ぼ」

な?目をキラキラさせて遊びに誘ってくる辺り。

とても、無月院家のお嬢様には見えない。

「良いよ。何して遊ぶんだ?」

あぁ、迷路だっけ?作ってきたとか言ってたな。

この際だから、迷路でも間違い探しでも、何でも付き合ってやるよ。

「迷路、やれば良いのか?」

…しかし。

「ううん。迷路はもう良いの」

えっ。

どうした、さっきまでめっちゃはしゃいでたのに。

突然飽きたのか?

「…どうしたんだ?」

「お出掛けしよ、一緒に」

これは、非常に意外な誘いであった。
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