アンハッピー・ウエディング〜前編〜
とりあえず、寿々花さんをその場に座らせて(やっぱり正座じゃなくて、体育座りだった)。

何があったのか、詳しく尋問したみたところ。

本人曰く、

「お昼ご飯温めようと思ったら、勝手に爆発しちゃった」とのこと。

お昼ご飯って、俺の作ったお弁当のことだよな?

俺、何か爆発するようなもの入れたっけ?

それでも、レンジが爆発って滅多にないことだと思うんだけど。

温め過ぎなんじゃねぇの。

惨状みたいな電子レンジを見て、これをどうやって掃除すれば良いのか、そもそももう壊れてんじゃないかとか。

何でこんなことになったんだとか、思うところも聞きたいことも色々とあった…の、だが。

「ねぇ、悠理君」

「…何だよ」

「悠理君、今すっごく臭い」

「…だろうな…」

自分でもそう思うよ。

こんなにんにく臭い男に叱られても、何にも心に響かないよなぁ。

更に、寿々花さんには反省の様子は特になく。

「結局お昼食べ損ねたから、お腹空いちゃったー」

呑気な顔で、そう言っていた。

説教してる場合じゃないって、そういうことだな。

寿々花さんは呑気だし、俺はにんにく臭いし、何なら歩き疲れて頭回らなくなってきたし。

あれこれ考えて、結局出てきたのは。

「…ちょっとシャワー浴びてくるわ」

「うん、行ってらっしゃーい」

とりあえず、この染み付いたにんにく臭を何とかするのが最優先。

電子レンジは…もう、見なかったことにするよ。
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