アンハッピー・ウエディング〜前編〜
初夏迎える頃の章4
――――――雛堂と乙無の三人で、食べ歩きに行った翌日。

昨日大量のにんにくを食べたせいで、胃腸に異常を来すかと思われたが。

かろうじて、大丈夫だったようだ。

若いって素晴らしい。

でも、やっぱり部屋の中、家の中がにんにく臭かった。

一種のバイオテロだろ、俺…。

匂い消し…になるか分からないけど、牛乳飲んどこ…。

…さて、それはそれとしてゴールデンウィーク三日目。

この日俺は、朝から家事に勤しんでいた。

今朝は寿々花さんが起きてくるのが遅かったので、一人で集中して家事が出来たよ。

…それは良いんだけど。

朝飯用意しておいたのに、なかなか起きてこないせいで、そのまま昼になってしまった。

結局寿々花さんが起きてきたのは、正午の十分前くらい。

「悠理君、おはよー…」 

「おはようって、あんた…もう昼だぞ」

こんにちは、の時間だからな。

家事に集中出来たのは良かったけど、もうちょっと早く起きてこいよ。

いかにゴールデンウィークと言えど。

だらだらする癖をつけたら、五月病の元だぞ。

「もっと早く起きようと思ったんだよ。でも、昨日見た夢が凄く長くて」

「夢?夢を見てたのか」

「うん。面白い夢だったんだよ」

面白い夢…ねぇ。羨ましいことだ。
 
俺が昨日見た夢、教えてやろうか?

ラーメンのスープの海に溺れてたところに、上から大量の巨大なにんにく爆弾が襲ってきてさ。

スープの海を泳ぎながら、必死ににんにく爆弾から逃げてる夢だった。
 
悪夢だよ。絶対。

「どんな夢だったのか聞いてくれる?」

「どうぞ」

そう言いながら、俺は寿々花さんの朝飯を用意した…って、言うか。

もうお昼だから、昼飯だな。

このまま、ちょっと品数を増やしてお昼ご飯にリメイクしよう。

「えーっと、10人ちょっとのクラスメイトの皆で、絶海の孤島に取り残されたの」

「すげーな…。もうその時点で、事件の香りがぷんぷんしてるよ」

漫画や映画でよくありそうなシチュエーション。

あるか?普通。絶海の孤島に取り残されるなんて状況が。

「で、そこでサバイバル生活が始まる訳か…」

「ううん。その島には、おっきな古い館があって、その館に閉じ込められて…」

「…密室殺人事件が起きるんだな?」

いかにも、って感じのシチュエーション。

犯人はこの中にいる…!みたいな。

一番最初に殺されるのは、クラスで一番地味で目立たないタイプの生徒でさ。

次に殺されるのは、「俺はもう付き合ってられん!帰る!」とか言ってフラグを立てる、そこそこリーダー格の生徒で…。

主人公と相方のヒロインは、「君だけは俺が守る」とか言って感動的なロマンスが、

「人面魚に食べられて死んじゃったんだー」

…突然出てきた人面魚。

なんか、俺の思ってた展開と違うぞ。
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