アンハッピー・ウエディング〜前編〜
初夏迎える頃の章5
さて、ゴールデンウィークが明け、いつもの日常が戻ってきた。

恐らく、全国の皆さんが溜め息をつき、うんざりとした気分で今日を迎えたことだろう。

休み明けだからな。仕方ない。

全国の皆さんの例に漏れず、俺のクラスメイトである雛堂も。

「はー…。また今日から学校か…」

うんざりと溜め息をつき、だらしなく机に突っ伏していた。

「言うなよ…。言っても仕方ないだろ」

「文句の一つも言いたくなるっての。あっという間だぜ?休みなんて。あれもこれもやろうと思ってたのに、結局半分くらいは寝てたわ」

長期休みのあるあるみたいな過ごし方してんな。

「チビ共は毎日うるせぇし、星見の兄さん達と出掛けた日以外は、特に何もしてなかったんだよなー」

「あ、そう…」

「毎年思ってるけど、充実したゴールデンウィークを過ごしました、なんて胸張って言えたことって一度もねぇわ」

心配するな。俺もだから。

そんなことが言えるのは、海外旅行や、別荘で休日を満喫したであろう女子部の生徒だけだろ。

「しかも、宿題も多いしさー。休ませる気ねぇだろ」

「…そうだな」

俺達は宿題に追われていたのに、女子部の生徒はろくに宿題もなく、休みを満喫していたなんて。

雛堂に教えたら、多分いきり立って怒るだろうな。

言わないでおこう。

知らない方が良いことってのがあるんだよ。

すると、そんな俺と雛堂を見ていた乙無が。

「全くだらしないですね。少しは僕のように、計画的に行動したらどうですか?」

…計画的、だと、

「じゃあ、そう言う乙無の兄さんは何やってたのさ?」

「それは勿論、邪神の眷属の役目を果たしていました」

ドヤァ。

嘘つけよ。あんたもだらだら過ごしてたんだろ。

「人間の罪を集め、器に満たし…イングレア様に献上する。それが邪神の眷属の役目ですから。遊んでいる暇はありません」

「ふーん。ゴールデンウィークも働かされるなんて、ブラックだなー」

結局、俺も雛堂も乙無も、休みの間、大したことはしてないって訳だな。

女子部のお嬢様とは違って、冴えない男子部の凡人生徒は、所詮こんなもんだよ。

良いじゃないか、なぁ?

人間、たまにはだらだらする時間だって必要だよ。

それに、俺だって毎日だらだらしてた訳じゃないし。

最終日の昨日は、ちゃんと真面目に勉強したからな。

そう思うと、一応それなりに充実した休みだった…と、言えなくもないんじゃないか?

…ほぼ、ホラー映画観てた記憶しかないけど。
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