アンハッピー・ウエディング〜前編〜
雛堂達に相談した二日後。

寿々花さんのプレゼントについて相談する適任が、ひょんなことから俺の前に現れる。

…そのきっかけは、とある日のホームルーム。

今日のホームルームの内容は、俺にとってかなり憂鬱だった。

俺に限らず、誰にとっても憂鬱だと思う。

何せ…。





「委員決めかぁ…。やだなぁ」

雛堂はうんざりした表情で、机に突っ伏した。

…全くだ。俺も同感だよ。

俺達だけじゃなくて、多分皆そう思ってると思うよ。

大抵の学校の、どのクラスでもあるだろう?

委員決め。

学級委員を始め、美化委員や風紀委員、体育祭委員、保健委員など。様々。

これらの役員を決めないといけないんだよ。

4月の間にこれらの話が出てこなかったから、男子部には役員決めはないんだろうかと思っていたが。

そういう訳じゃなかったらしい。

ゴールデンウィークが明けて、中間試験も終わって。

ホッと一息つき、学校生活に慣れてきたタイミングで…いきなり「今日は委員決めをします」だからな。

この仕打ち。いかにもこの学校らしいな。

こういうの、率先してやりたがる人の気が知れない。

俺は面倒臭がりだから、これまで、出来るだけ学校の役員からは逃げていた。

どうしてもやらなきゃいけないなら、少しでも簡単で、楽な役員を選んでいた。

不真面目でごめんな。

「俺だって嫌だけど…。でも、今回は逃げられないぞ」

「そうなんだよなぁ…」

中学校の時までは、やりたい人が立候補して委員を決めていたけど。

今回は、そうは行かない。

何せ、ひとクラスの人数が少ないからな。

クラスメイトが全員、何かしら役員にならなきゃいけないのだ。

これが女子部のクラスだったら、人数が多いから、立候補制で決められただろうに。

ひとクラスの人数が少ないと、どうしても一人一人が何かしら、責任や仕事を果たさなきゃいけないんだよな。
 
世知辛い。

そして面倒臭い。

全員が役員にならなければならない、と聞けば平等なように聞こえるかもしれないが…。 

「せめて、一番楽そうな役員になりたいもんだ」

「…そうだな」

それでもやっぱり、各委員ごとに、面倒臭さの度合いは違うからな。
 
学級委員とかは超忙しいけど、保健委員や風紀委員は、あんまり仕事が多くない…とか。

体育祭委員や文化祭委員になったら、体育祭と文化祭のときにめちゃくちゃ働かされるけど。

それ以外のときは、特にやることがないから楽…とか。

就いた委員によって、仕事量が段違いなんだよな。

とりあえず…学級委員にだけはなりたくない。

これだけは確かである。
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