アンハッピー・ウエディング〜前編〜
委員決めリストの項目の横に、その委員の主な仕事が記載されている。

えぇと、保健委員の仕事は…。

体調不良の生徒がいたら、保健室に連れて行ったり。

二、三ヶ月に一回、保険便りを作成したりする…とのこと。

広報委員の方は、月イチで配られる校内広報の冊子の作成、及び配布。

それから、校内の掲示板の掲示物の管理…だそうだ。

うーん…。これも面倒臭そうではあるものの。

さっき言ってた、学級委員や体育祭委員よりはマシっぽいな。

こうなったら、少しでも楽な委員を選ぶしかないだろ。

…選べたら、の話だけどな。

「こうなったら、己の運に賭けるしかないようですね」

…全くだ。

今回の委員決め、立候補制じゃないんだよ。

どうやって決めると思う?

…あみだくじだ。

泣いても笑っても、自分の運に全てを任せるしかないってことだな。

「あみだくじって…。高校生にもなってそんな決め方があるかよ…」

じゃんけんよりはマシかもしれないけど。

俺、じゃんけん弱いから。
 
でも…あみだくじも大概だよな。

「仕方ありませんよ、悠理さん。世界は不平等に満ちてるんです。この世で唯一平等なのは、我らが邪神イングレア様だけです」
 
本当にな。

俺も邪神教に入信しようかな。あまりにも不平等だからさ。
 
…ある意味、最も平等な決め方だと言えなくもないけど。

「今こそ、自分の鉛筆コロコロの才を発揮するとき…!」

などと口走って、雛堂は鉛筆をコロコロ転がして、あみだくじを選んでいた。

それ、当てになるのか?赤点取ってたのに?

…で、俺はどうしたものかな。

せめて少しでも楽な委員になりますように、と思いを込めて。
 
これと決めたあみだくじに、自分の名前を記入した。
 
後は野となれ山となれ、である。
< 231 / 505 >

この作品をシェア

pagetop