アンハッピー・ウエディング〜前編〜
…。

…マジで?

そうなんじゃないかなぁ、と数日間思い続け。

しかし、そんなはずはないと自分に言い聞かせてきたものだが。

…やっぱりそうだった。

このお嬢さん、本気で俺をハムスターランド旅行に連れて行こうとしている。

俺、行きますなんて一言も言ってないよな?

何で俺が一緒に行くことになってんの?いつの間に?

週末は寿々花さんがいないから、家の大掃除をして、庭の草むしりでもしようと思っていたのに。

冗談じゃない、とか。

俺は行くつもり無いからな、とか。

言いたい言葉は色々あったけど。

「楽しみだね、悠理君。ハムスターランド、二人共初めてだもんね」

「…そうだな…」

旅行を明日に控えて、ガイドブックを肌見離さず抱き締め。

うきうきわくわくと胸を躍らせている寿々花さんに、どうして「俺は行かない」なんて言えるだろう。

…結局のところ、現実から目を背け続けた俺が愚かだったということだ。

もっと早く聞くべきだった。誰と一緒に旅行に行くつもりなのかと。

前日になったら、もう今更逃げ出すことも出来ないじゃないか。

…よし。

俺、もう考えるのやめるよ。

全て考えるのをやめて…それこそ、頭の中がハムスターになったつもりで。

…荷造り、今日のうちにしておかないとなぁ。





…こうして。

観念した俺は、寿々花お嬢さんと一緒にハムスターランド旅行に行くことにしたのだった。

…これ、何の罰ゲーム?
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