アンハッピー・ウエディング〜前編〜
お互い服を着替え、荷物をスーツケースにまとめ直し。

二人で、朝食ビュッフェに向かった。

いやはや、ここでもハムスターランドホテルのクオリティの高さを痛感したよ。

本当に、これ朝食か?って思うくらい贅沢だった。

旅行先の朝食ビュッフェって美味しくて、つい食べ過ぎてしまう。あるあるだよな。

これからハムスタースカイに行くっていうのに、朝ご飯で満腹になるのは勿体ない。

朝食を終えた後、俺と寿々花さんは荷物を持って、ハムスタースカイに向かった。

言うまでもないことだが、昨日のハムスターランドと同じで、こちらも初めての経験である。



生まれて初めて、ハムスタースカイのエントランスを歩きながら。

俺は、空を見上げた呟いた。

「今日は晴れてて良かったな」

「うん、そうだねー」

昨日の悪天候が嘘のよう。

今日は朝から、とても天気が良い。

梅雨の晴れ間って奴だな。貴重な一日だ。

今日は、傘を持ってうろうろしなくて良いようだ。

傘って結構荷物になるから、持って歩くとストレス溜まるんだよな。

しかし、天気が良いせいか、それとも単に日曜日だからか。

昨日のハムスターランドよりも、人が多い気がする。

まぁ、優待チケット持ちの俺達にとっては、あまり関係ないがな。

「さて、寿々花さん。…今日はどうするんだ?」

覚悟は決めてきたからな。

一発目、絶叫系アトラクションでも大丈夫だぞ。

ハムスタースカイには、三大マウンテンとかはないんだよな?

でも、絶叫系アトラクションは、当然存在しているはずだ。

良いよ、乗ってやるよ。

朝食べた朝食ビュッフェ、口から出なければ良いんだけど。

…しかし、寿々花さんは。

「お買い物しよう、お買い物」

意外なことに、アトラクションに乗るとは言い出さなかった。

ちょっとびっくりした。

てっきり、一発目からジェットコースターなのだとばかり…。

そうか。先に買い物…お土産を買うのか。

良いかもな。帰り際になると、お土産屋さんが混み合ってくるから。

これ以上混雑する前に、お土産を選んでおくのも悪くないかも。

あ、でも荷物になるかな…。まぁいっか。

たくさん買う訳じゃないし。

自分用と、雛堂と乙無と…。あと、母さんにお土産送ってあげようかな。

それだけだから。多分、紙袋一つで収まるだろう。

「分かった、良いよ。行こうか」

「うーんと…。あ、あれあれ。あれ買いたいんだー」

「あ、ちょっと待てって。走るんじゃない」

とてとて駆けていく寿々花さんを追い掛けていくと。

寿々花お嬢さんが向かったのは、キャラクター物のカチューシャやヘアアクセサリーを売るワゴン。

…え、マジ?…つけるの?
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