アンハッピー・ウエディング〜前編〜
しばらく、そんな調子で寿々花さんの買い物に付き合った結果。

「ふー。お買い物楽しかったねー」

「…」

前述のカチューシャと、背中にでかでかとハムッフィーフレンズの絵柄が入ったパーカー。

更に、ハムッフィーフレンズのピンバッチと、ぬいぐるみマスコット。

極めつけは。

「はい、悠理君あげる」

ぬいぐるみを二つ買ってきて、一つを俺に差し出してきた。

「…何でぬいぐるみ?」

「尻尾がもふもふしてたから」

…それが理由なのか? 

で、何でわざわざ二つ買ってきた?

「こっちがハムトーニちゃんでー、そっちの子がハムー・ベルちゃんって名前なんだって」

「…へぇ…」

寿々花さんの持っているのが、薄緑色のハムスター、ハムトーニで。

さっき俺が渡されたピンク色のぬいぐるみが、ハムー・ベルというらしい。

せめて逆にして欲しかったよ。

どう考えても、ピンクは女児向けだろ…?

尻尾ふかふかしてんな。しかし。

「あんた、意外と可愛いもの好きなんだな…」

興味ないんだと思ってたよ。こういうものは。

ハムッフィーフレンズのパーカーとか、ぬいぐるみマスコットとか。

意外と年相応って言うか、可愛いところもあっ、

「うん。全部悠理君にあげるね。はい」

「…はい?」

買ったばかりのお土産が入った紙袋を、そのまま俺に押し付けてきた。

ハムトーニごと。一緒に。

…。

両手にぬいぐるみを持たされて、お土産の紙袋も押し付けられて、俺は一体どうしたら良いのか。

荷物持っててってこと?そういうことなのか?

でも、今「あげる」って言わなかった?

ってことは、今買ってたこのお土産全部、俺に押し付ける気…。

…な、はずないよな。うん。きっと俺の聞き間違いだ。

それよりも。

「…両手にぬいぐるみ持ってたら、さすがに邪魔だよ。一個持ってくれ」

「良いよー」

と言って、何故かハムトー二の方を抱っこする寿々花さん。

だから、逆にしてくれって。何で俺がピンクのハムー・ベルの方を持ってなきゃいけないんだ。

なんつーか、凄い可愛いものが好きな男子みたいになってる。

俺にそんな趣味はないからな。マジで。

「悠理君はお土産、買わないの?」

「お土産…?あぁ、そうだな…」

雛堂にせがまれてたんだっけ。お土産。

何が良いんだろうなぁ…。

適当に、チョコレート買っておけばいっか。
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