アンハッピー・ウエディング〜前編〜
お土産屋で買い物をした後。

「よし、アトラクションに乗ろう」

気を取り直して、いよいよハムスタースカイのアトラクションにチャレンジする気のようだ。

…それは良いんだけど、このぬいぐるみ…。持って歩くのめっちゃ恥ずかしいな。

ちっちゃい女の子じゃないんだからさ…。

…恥ずかしがったら余計恥ずかしくなるので、もう気にしないでおこう。

「あ、そう…。何に乗るんだ?」

「んーと、あれ。タワー・オブ・ハムスター」
 
「ふーん。そんなアトラクションがあるのか…」

ハムスターの塔ねぇ…。いかにも可愛らしい名前のアトラクションだけど。

一体どんなアトラクションなんだろうな…と、考えるまでもなかった。

寿々花さんの指差した先に、いかにもお化け屋敷っぽい外装のお屋敷が建っていた。

最上階から、きゃー、とか、うわー、とか叫び声が反響しまくってる。

…何処からどう見ても絶叫系ですね。ありがとうございました。

しかも、ガイドブックを参照したところ。

なんとこのアトラクション、ハムスターリゾートでも一二を争う最恐アトラクションだとか。

昨日乗った、ビッグハムスター・マウンテンとかより怖いってこと?

冗談だろ…。

こちらはジェットコースターではなく、所謂フリーフォール型の絶叫アトラクションであるらしい。

フリーフォールって…乗ったことないんだけど、エレベーターが落っこちるみたいなイメージでOK?

トラウマになって、二度とエレベーター乗れなくなったらどうしてくれるんだ。

「よし、乗ろう悠理君」

「…分かったよ」

覚悟を決める、って今朝決意したばかりだからな。

前向きに考えよう。

これが一番怖いってことは、これに乗った後は、もう何に乗っても大して怖くなくなるだろ?

これさえ乗り越えたら、あとはヌルゲーみたいなもんだ。

大丈夫だって。昨日の三大マウンテンだって、見事乗り越えたんだから。

いざとなったら、もうずっと目を瞑って、心を無にして。

心頭滅却すれば火もまた涼し理論で、何とか乗り切ろう。
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