アンハッピー・ウエディング〜前編〜
ドリンクを買いに行った寿々花お嬢さんを、待ち続けること15分が経過。

…。

…遅くね?

なんか、帰ってくるの遅くね?

すぐそこの店で買ってくる、って言ってたよな?

もしかして並んでるのか?今日、人が多いから…ドリンクを買うだけでも、順番待ちに時間がかかって…。

いや、待て。それはない。だって、俺達にはインチキ順番抜かし優待チケットがある訳で。

いつだって何をするにも、順番待ちをする必要はないはずだ。

ドリンクを買って戻るだけなら、そんなに時間はかからないと思うのだが…。

…。

…何だか、嫌な予感がする。

こういうときの嫌な予感っていうのは…当たるんだよなぁ。

探しに行こうか、と立ち上がりかけて、しばし逡巡。

そして、やっぱり座り直した。

…あと10分くらい待ってみよう。

何か手違いがあって遅くなってるだけかもしれないし。

この人混みじゃ、下手に動くより、一箇所にじっとしていた方が良いと思う。

とりあえず、あと10分。10分待って帰らなかったら、行動を変えてみよう。

時間が経てば経つほどに強くなる、嫌な予感を抱えながら。

俺はベンチに腰掛けて、寿々花お嬢さんが戻ってくるのを待つことにした。

…の、だが。
< 312 / 505 >

この作品をシェア

pagetop