アンハッピー・ウエディング〜前編〜
そして、その日の放課後。
帰宅すると、またしても。
「うわっ、びっくりした」
「…」
玄関先に、寿々花お嬢さんがしゃがみ込んで、ずーんと沈んでいた。
…この際、落ち込むのは良いけどさ。
玄関先で落ち込むの、やめてくれないか?
帰ってきた俺がびっくりするだろ。
「ど、どうした?今日は何に落ち込んでるんだ」
無事に調理実習は終わったんだろう?
すると。
「…その場で皆で食べると思ってたのに、全然食べなかった…。一年生の教室に持っていったよ」
と、寿々花さんがボソボソと答えた。
あ、そうなんだ…。
小花衣先輩は旧校舎に持ってきたけど、寿々花さんの所属していたグループは、新校舎の一年生に試食を頼んだらしい。
他の人に食べてもらって、感想を言ってもらうのが今回の実習の趣旨だって、小花衣先輩言ってたもんな。
「…聞いたよ…その話は」
「何だか私、勘違いしてたみたい。あんなに悠理君に協力してもらって、たくさん頑張ったのに…」
「…」
「…全部無駄だったなんて…」
それで落ち込んでるのか?
まぁ、気持ちは分かるけどさ…。
「全部無駄だった、ってことはないだろ」
俺は玄関先にしゃがんで、寿々花さんの顔を覗き込むようにして言った。
「好き嫌いを克服しようと頑張ってた、寿々花さんの努力は無駄じゃない。お陰で俺は今度から、ニンジンをいちいち星型にしなくても済むんだからな」
これだけでも、俺にとってはかなり助かるんだからな。
好き嫌いが少しでも減るなら、それに越したことはない。
「だから、そんなに落ち込むなよ」
「…悠理君…」
「ほら、さっさと立てって。今日はオムライス食べるんだろ?ちゃんと材料買ってきたから」
俺がそう言うと、寿々花さんは落ち込んでいた顔を明るくした。
よしよし。チョロいチョロい。
「昨日まで我慢してた分、今日は思いっきり食べろよ」
「うん。私、特大オムライス食べたい」
「はいはい、特大な」
リクエストにお答えして、今日は寿々花さんの好きなオムライスを、特大サイズで用意することにしよう。
帰宅すると、またしても。
「うわっ、びっくりした」
「…」
玄関先に、寿々花お嬢さんがしゃがみ込んで、ずーんと沈んでいた。
…この際、落ち込むのは良いけどさ。
玄関先で落ち込むの、やめてくれないか?
帰ってきた俺がびっくりするだろ。
「ど、どうした?今日は何に落ち込んでるんだ」
無事に調理実習は終わったんだろう?
すると。
「…その場で皆で食べると思ってたのに、全然食べなかった…。一年生の教室に持っていったよ」
と、寿々花さんがボソボソと答えた。
あ、そうなんだ…。
小花衣先輩は旧校舎に持ってきたけど、寿々花さんの所属していたグループは、新校舎の一年生に試食を頼んだらしい。
他の人に食べてもらって、感想を言ってもらうのが今回の実習の趣旨だって、小花衣先輩言ってたもんな。
「…聞いたよ…その話は」
「何だか私、勘違いしてたみたい。あんなに悠理君に協力してもらって、たくさん頑張ったのに…」
「…」
「…全部無駄だったなんて…」
それで落ち込んでるのか?
まぁ、気持ちは分かるけどさ…。
「全部無駄だった、ってことはないだろ」
俺は玄関先にしゃがんで、寿々花さんの顔を覗き込むようにして言った。
「好き嫌いを克服しようと頑張ってた、寿々花さんの努力は無駄じゃない。お陰で俺は今度から、ニンジンをいちいち星型にしなくても済むんだからな」
これだけでも、俺にとってはかなり助かるんだからな。
好き嫌いが少しでも減るなら、それに越したことはない。
「だから、そんなに落ち込むなよ」
「…悠理君…」
「ほら、さっさと立てって。今日はオムライス食べるんだろ?ちゃんと材料買ってきたから」
俺がそう言うと、寿々花さんは落ち込んでいた顔を明るくした。
よしよし。チョロいチョロい。
「昨日まで我慢してた分、今日は思いっきり食べろよ」
「うん。私、特大オムライス食べたい」
「はいはい、特大な」
リクエストにお答えして、今日は寿々花さんの好きなオムライスを、特大サイズで用意することにしよう。