アンハッピー・ウエディング〜前編〜
およそ一時間後。
「よーし。寿々花さん、晩ご飯出来たぞ」
食卓を整えてから、リビングに向かって声を掛けると。
「わーい。良い匂いだ〜」
お絵描きに熱中していた寿々花さんだったが、俺が声を掛けるなり、クレヨンを放り出してやって来た。
呼んだらすぐ来てくれるのは有り難いんだけど、片付けてから来いよ。
どうやら、ホラー映画のDVDのパッケージを見ながら、映画に出てくる化け物の似顔絵を描いていたらしい。
…何故化け物の似顔絵?
好きなもの描いて良いけど、冷蔵庫の化け物の隣に俺を描くのはやめてくれよ。
「悠理君、今日のご飯はなぁに?」
「今日はハンバーグだよ」
しかも、普通のハンバーグじゃないぞ。
中にチーズを入れた、チーズインハンバーグだ。
更にそのハンバーグの上に、目玉焼きを乗せるという贅沢をしてみた。
玉子も安かったんだよ。千円以上お買い上げでお一人様100円でさ。
「凄い。贅沢だね。とっても美味しそう」
子供舌の寿々花お嬢さんは、目をキラキラさせていた。
この顔を見ると、頑張って挽き肉捏ねた甲斐があるよなーって思う。
「こっちは?これはなぁに?」
と、小鉢に入れた漬け物を指差す寿々花さん。
「糠漬けだよ。大根の葉っぱの」
「出た。悠理君お得意のお漬物だ」
得意って言うか。まぁ得意だけど。
糠漬けと言えば、代表格はきゅうりやニンジン、大根の白い部分なんだが。
大根の葉っぱを漬けても、結構美味しいもんだぞ。
捨てるの勿体ないだろ?大根の葉っぱ。
根が貧乏性だからさ。捨てたことないんだよ。
味噌汁に入れたり、こうして糠漬けにしたり。
俺はまだやったことないけど、ミョウガやセロリを漬けても美味しいらしい。
ただ、ちょっと癖が強そうだから、子供舌の寿々花さんにはハードルが高いかもな。
「いただきまーす」
「はい、どうぞ」
さて、じゃあ俺も座って食べようかな、と。
思った、その時だった。
狙い澄ましたかのようなタイミングで、インターホンが鳴らされた。
…誰だよ。こんな時間に。
今から食べようってときに。
仕方ない。無視する訳にもいかないし、出るか。
「先に食べててくれ。ちょっと出てくる」
「うん。行ってらっしゃい」
寿々花さんに断ってから、俺は呼び出しに応じて玄関に向かった。
「はい、何か御用です…か?」
「…」
玄関先には、仏頂面をした青年が立っていた。
…えーっと。
…どちら様?
「よーし。寿々花さん、晩ご飯出来たぞ」
食卓を整えてから、リビングに向かって声を掛けると。
「わーい。良い匂いだ〜」
お絵描きに熱中していた寿々花さんだったが、俺が声を掛けるなり、クレヨンを放り出してやって来た。
呼んだらすぐ来てくれるのは有り難いんだけど、片付けてから来いよ。
どうやら、ホラー映画のDVDのパッケージを見ながら、映画に出てくる化け物の似顔絵を描いていたらしい。
…何故化け物の似顔絵?
好きなもの描いて良いけど、冷蔵庫の化け物の隣に俺を描くのはやめてくれよ。
「悠理君、今日のご飯はなぁに?」
「今日はハンバーグだよ」
しかも、普通のハンバーグじゃないぞ。
中にチーズを入れた、チーズインハンバーグだ。
更にそのハンバーグの上に、目玉焼きを乗せるという贅沢をしてみた。
玉子も安かったんだよ。千円以上お買い上げでお一人様100円でさ。
「凄い。贅沢だね。とっても美味しそう」
子供舌の寿々花お嬢さんは、目をキラキラさせていた。
この顔を見ると、頑張って挽き肉捏ねた甲斐があるよなーって思う。
「こっちは?これはなぁに?」
と、小鉢に入れた漬け物を指差す寿々花さん。
「糠漬けだよ。大根の葉っぱの」
「出た。悠理君お得意のお漬物だ」
得意って言うか。まぁ得意だけど。
糠漬けと言えば、代表格はきゅうりやニンジン、大根の白い部分なんだが。
大根の葉っぱを漬けても、結構美味しいもんだぞ。
捨てるの勿体ないだろ?大根の葉っぱ。
根が貧乏性だからさ。捨てたことないんだよ。
味噌汁に入れたり、こうして糠漬けにしたり。
俺はまだやったことないけど、ミョウガやセロリを漬けても美味しいらしい。
ただ、ちょっと癖が強そうだから、子供舌の寿々花さんにはハードルが高いかもな。
「いただきまーす」
「はい、どうぞ」
さて、じゃあ俺も座って食べようかな、と。
思った、その時だった。
狙い澄ましたかのようなタイミングで、インターホンが鳴らされた。
…誰だよ。こんな時間に。
今から食べようってときに。
仕方ない。無視する訳にもいかないし、出るか。
「先に食べててくれ。ちょっと出てくる」
「うん。行ってらっしゃい」
寿々花さんに断ってから、俺は呼び出しに応じて玄関に向かった。
「はい、何か御用です…か?」
「…」
玄関先には、仏頂面をした青年が立っていた。
…えーっと。
…どちら様?