アンハッピー・ウエディング〜前編〜
「俺が今度の遠足で先に行って、下見してくるよ。で、次は一緒に行こう」

「本当?良いの?一緒に行ってくれる?」

「あぁ、良いよ」

安いもんだ。動物園に連れて行くくらい。

「わーい。やったー」

それなのに寿々花さんは、たったこれだけのことで大袈裟に喜んでいた。

はいはい。良かったな。

「楽しみだね、悠理君。約束だよ、約束」

「分かった分かった。約束な」

「お土産。お土産買ってきてね。私も悠理君にお土産買ってくるから」

「はいはい。お土産な」

「動物園かー。私も行きたいな。私、ケセランパサランなんてまだ一度も見たことないんだよ」

「…俺もないよ」

この人さっきから、動物園をUMA博物館だと思い込んでね?

違うから。いねーから。無知って恐ろしい。

後日一緒に動物園に行って、UMAに会えなくて、落ち込んでも知らないからな。
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