アンハッピー・ウエディング〜前編〜
「それではまず、早速こちらがタイガースネークになります」

久露花瑠璃華が手で差す檻の中には、灰色っぽい縞模様のヘビがとぐろを巻いていた。

迫力あるな…。

「強そうな名前で、是非戦いを挑んでみたくなるところですが、此奴は強力な毒を持っているので、戦うときは気をつけてください」

「そ、そうっすか…」

「致死率約50%の猛毒だそうです。我々『新世界アンドロイド』には当然毒は効きませんが、人間には危険なので、戦うときは血清を所持しておくべきですね」

「…」

血清なんて、何処に売ってるんだよ?

家の救急箱に入ってるようなものじゃないだろ。

「次に、こちらがキングコブラになります。この大きさ、太さ、そして威厳のある面構え。まさにキングと呼ぶに相応しい姿だとは思いませんか?」

「…そうっすね…」

「勿論有毒で、この大きさから世界最大の毒蛇とも言われています。つまり、このヘビを倒すことが出来れば、ヘビの王、ヘビ界のラスボスに勝利したことになります。頑張ってください」

「…」

…何だよ。ヘビ界のラスボスって。

「次にガラガラへビです。模様が非常に独特で分かりやすいですね。キングコブラに比べると身体は小さいですが、こちらも猛毒を持っているので戦うときは充分気をつけてください」

「…そっすか…」

「ちなみに名前の由来は、赤ん坊をあやすときに使うガラガラだそうです。この蛇がガラガラ音を立てていたら、それは威嚇行動なので注意してください」

「…」

ガラガラヘビの名前に、そんな由来が。

それは豆知識だな…。無駄な雑学って感じだけど。

「そしてこちらが、アミメニシキヘビです。世界最長のヘビとも言われています。実に良い面構えで、戦ってみたいと思いませんか?」

「…そう…っすね?」

「意外なことに、このヘビには毒がないそうです。その代わり、捕らえた獲物を締め上げて殺し、丸呑みにするという特技があるので、戦うときはこれらの点に気をつけて、上手く立ち回ることをおすすめします」

「…」

…さっきから、ずっと。

久露花さんが解説して、その解説にもう一人のアンドロイド、橙乃琥珀が補足をするという形で、ヘビエリアを案内してくれている。

分かりやすい解説で有り難いんだけど、ずっと気になっていることがある。
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