アンハッピー・ウエディング〜前編〜
…二時間後。

「はぁ…。ろくな目に遭わねぇ…」

ようやく、台所の片付けが終わった。

大変だったんだぞ。あの後。

天に召されかけた俺だったが、幸い一命を取り留めて目を覚ました。

生きてて良かった。

目が覚めたら、いつの間にか一時間くらい過ぎていた。

この一時間、俺、全く記憶がない。

寿々花さん曰く、俺は白目を剥いて気絶していて。

呼んでも揺すっても、全く起きなかったのだとか。

あまりの不味さに、意識を失ってしまったものと思われる。

で、目が覚めたのが一時間前。

意識を取り戻してすぐ、俺は再び、謎インスタントラーメンと対峙した。

そして、敗北を観念した。

一口食べて、失神するレベルだぞ。

これ以上食べる、ましてや完食するなんて絶対に無理。

そんなことしたら、今度こそ天からのお迎えが来る。

そう判断した俺は、申し訳ないが、ラーメンを捨てさせてもらった。

つーかこれ、本当にラーメンなのか?

この世のものじゃない味がしてたけど。

人間の食べ物とは思えない。

無理。絶対無理。

もう、匂いを嗅いだだけで吐きそう。

こんなもの食べようと思った俺が馬鹿だったんだよ。

一方、このインスタントラーメンを買ってきた張本人である寿々花さんは。

首を傾げながらも、普通に食べれるようだったが。

仮に食べられたとしても、後で具合が悪くなったら困ると思って。

それで、寿々花さんの分も廃棄することにした。

簡単に言うけど、捨てるのだって大変なんだぞ。

特に今は夏場だから、生ゴミを捨てるのは注意が必要なのに。

ましてやこんなに大量に、しかもとんでもない悪臭を漂わせているのだ。

俺は、家にあるありったけの大量の新聞紙をベランダに出し。

そこにラーメンを捨てて、新聞紙で包み。

ビニール袋に何重にも入れて、大量の消臭スプレーを吹き掛け、証拠隠滅。

これで、何とかなった…と、思いたい。

家の中もたくさん消臭スプレーを噴いて、窓という窓を開けて換気したけれど。

それでもまだ、家の中にはあのラーメンの匂いが充満していた。

…これもしかして、明日明後日まで残る?

カーテンとかカーペットに、匂いが染み付いてるんだろうな…。

…おぇっ…。

一日中換気したいところだったけど、窓開けたらエアコン利かなくて暑いし。

結局、買い置きの脱臭剤を全部開けて、家中あちこちに置くことで対策した。

果たして、これで匂いは取れるのだろうか。

こんなこともあろうかと、脱臭剤いくつか買い置きしてて良かった…。

…今度は、空気清浄機買ってこよう。マジで。切実に。
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